四川省で世界クリーンエネルギー設備大会が開催

(中国)

成都発

2022年08月31日

中国の四川省徳陽市で82729日、中国工業情報化部と四川省政府の共催により「世界クリーンエネルギー設備大会」が開催された。オンラインとオフライン併用の形式で、21カ国・地域から政府や国際機関、研究者、企業関係者ら約2,000人が集い、発電設備やエネルギー貯蔵、送電技術など8つのテーマを取り上げたサブフォーラムが設けられ、2日間にわたり議論が行われた。

開幕式で全国人民代表大会常務委員会の丁仲礼副委員長は「双炭(カーボンピークアウトとカーボンニュートラル)目標達成のため、クリーンエネルギー分野で各国の優位性を生かした国際共同研究が必要だ」と強調した。王暁暉・四川省書記は西電東送(注)の拠点としての四川省の優位性を強調し、クリーンエネルギー基地建設が四川省発展の青写真に示されていると述べた。

フォーラムでは、2013年にノーベル化学賞を共同受賞した生物物理学者マイケル・レビット博士(米スタンフォード大学)が気候変動とカーボンニュートラルについて基調講演を行ったほか、ドイツ系企業の中国子会社フォイト・ハイドロや中国機械工業集団、中国東方電気集団、通威集団など関連企業のトップらが講演した。

展示会場では、国内外184社が関連分野の最新製品や技術の展示を行った。中でも、中国能建数科集団が発表した世界初の空気圧縮型蓄電システムや、二重徳陽貯能科技が発表した独自開発のフライホイール蓄電装置などに注目が集まった。

写真 開幕式・メインフォーラム会場の様子(ジェトロ撮影)

開幕式・メインフォーラム会場の様子(ジェトロ撮影)

写真 展示場の様子(ジェトロ撮影)

展示場の様子(ジェトロ撮影)

会場となった徳陽市は、中国機械工業集団や東方電気集団という大企業を有しており、中国の原子力発電ユニットの約60%、水力発電ユニットの約40%を生産する発電設備製造の一大拠点だ。同市の発電設備生産量は累計600ギガワット(GW)を超え、近年では年間生産量世界一を維持しているという。

業界最大手の東方電気集団の兪培根会長は講演で「中国の二酸化炭素(CO2)全排出量の40%を占める電力業界は『双炭』の主戦場であり、新エネルギーを主体とした新電力システムの構築が双炭目標達成のために必要だ」と指摘した。徳陽市内の東方電気工場では、CO2の気化・液化による発電とフライホイールを組み合せた世界初のエネルギー貯蔵システムの試験運用を行っており、視察に訪れた大会参加者の話題を集めていた。

写真 東方電気工場内のCO2+フライホイール蓄電設備(ジェトロ撮影)

東方電気工場内のCO2+フライホイール蓄電設備(ジェトロ撮影)

写真 CO2+フライホイール蓄電の解説パネル(ジェトロ撮影)

CO2+フライホイール蓄電の解説パネル(ジェトロ撮影)

(注)西部内陸部で発電した電力を最大消費地である東部沿海部へ送電すること。

(森永正裕)

(中国)

ビジネス短信 aa24078a11c48677