米国民はインフレなどで娯楽抑制の傾向、食料品とガソリン代に最大の懸念、米民間調査

(米国)

米州課

2022年08月09日

米国では、急速なインフレが人々の消費動向に影響を与えている。米国生命保険会社ニューヨークライフが成人2,210人を対象に62324日に実施し、82日に公表した国民の経済的懸念に関する調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、中間選挙が11月に迫る中、有権者の投票行動に大きな影響を及ぼし得る同国の経済状況について(2022年7月12日記事参照)、多数が不満を抱えている様子を浮き彫りにしている。

この調査結果によると、マクロ経済の動向として、調査回答者の65%がインフレ、34%がヘルスケア負担、32%が国の経済回復を心配しており、89%が米国の景気はまもなく後退するのではないかとの懸念を持っていることが分かった。

日々の支出に関しては、食料品とガソリンの価格(39%)、月々の支払い(36%)、緊急的な必要性(24%)を最も懸念しており、高い日常経費を賄うために貯蓄から平均で616.73ドルを切り崩しているという。ガソリン代は、この調査実施後の7月にピーク時から15%超下落しているが(2022年7月28日記事参照)、依然として厳しい家計状況に変わりない。過去数カ月間に支出を減らした項目として、外食・レストランからの注文(45%)、旅行・休暇(39%)、イベントへの参加(37%)を挙げる回答者が多かった。日常経費が高騰しているため、娯楽などへの支出を抑制しているとみられる。

老後の生活に向けた貯蓄に関しては、47%が最近進展したと述べる一方、進んでいないと述べた回答者も32%と一定数存在した。併せて、退職時の金銭的目標を達成する自信があるとしたのは全体の62%で、類似調査を行った20221月時(69%)よりも7ポイント減少している。

米国の消費者マインドを示す指標のミシガン大学消費者信頼感指数外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます7月に51.5となり、過去最低だった6月の50.0からわずかに上昇した。消費者の経済的懸念が改善すると、消費マインドは高まり、米国経済の健全性を取り戻す一因になり得るが、ジョー・バイデン大統領は引き続き難しいかじ取りを迫られている。

(片岡一生)

(米国)

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