米商務省、中国の航空宇宙関連の研究所など7事業体を輸出管理対象に追加

(米国、中国)

ニューヨーク発

2022年08月24日

米国商務省産業安全保障局(BIS)は823日、中国の航空宇宙関連の研究所など6つの研究機関と企業1社を輸出管理規則(EAR)上のエンティティー・リスト(EL)に掲載すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。正式には8月24日付の官報で公示外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますする。

今回ELに追加されたのは、中国航天科技集団第九研究院第七七一研究所など、いずれも航空宇宙科学やエレクトロニクスなどハイテク分野の研究所および企業となる。BISは、これら事業体が中国軍の現代化を支援する目的で米国製品を入手またはそれを試みたことをELへの追加理由に挙げている。ELは、米国政府が「米国の国家安全保障または外交政策上の利益に反する行為に携わっている、またはその恐れがある」と判断した団体や個人を掲載したリストで、それらに米国製品(物品、ソフトウエア、技術)を輸出・再輸出・みなし輸出などを行う場合には、事前許可が必要となる。許可方針は個々に設定されるが、BISは今回掲載した事業体について、全てのEAR品目を対象に、申請されても「原則不許可(presumption of denial)」とする方針を明らかにしている。

BISは今回の追加により、EL掲載の中国の事業体は約600に達し、そのうち110以上の事業体はバイデン政権成立以降に追加されたとしており、現政権が輸出管理政策で中国に厳しく臨んでいる点を強調している。輸出管理を担当するアラン・エステべス商務次官は「航空宇宙事業を支える米国の技術が中国軍の現代化のために使われてはならない。われわれは迂回輸出の証拠がないか、これら分野を常に監視している。中国の軍民融合プログラムを受けてBISは、われわれの機微な技術を守る必要がある時は用心深くかつ力強く行動する必要がある」と、ハイテク分野での技術流出に対して警戒を緩めない姿勢を示している。

(磯部真一)

(米国、中国)

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