米上院、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟議定書の批准決議案を可決

(米国、スウェーデン、フィンランド、ウクライナ、ロシア)

ニューヨーク発

2022年08月05日

米国連邦議会上院は83日、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟議定書を批准する決議案を賛成多数で可決した。賛成95、反対1で、賛成票は可決に必要な3分の2を大きく上回った(棄権1、欠席3)。米国では、条約を承認する権限は上院のみにあるが、下院も7月、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟申請を支持する決議を超党派で可決している。

フィンランドとスウェーデンは、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、5月にNATOへの加盟をそれぞれ申請した。NATO6月にスペインで開催した首脳会議で、両国の加盟に合意(2022年6月29日記事参照)。両国の加盟には全30加盟国の批准が必要で、批准したのは米国が23カ国目となる。

上院外交委員会のジム・リッシュ少数党筆頭理事(共和党、アイダホ州)は決議案の可決後に発表した声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟は「ロシアがバルト海や北極圏で軍事的冒険を冒す衝動をより一層抑止する」と指摘した。ジョー・バイデン大統領は「この歴史的な投票は、NATOへの米国の持続的で超党派によるコミットメントを示す重要なシグナルを送る」と述べ、上院の決議案可決を歓迎する声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。「ニューヨーク・タイムズ」紙(電子版83日)は、今回の上院の投票が、ロシアのウクライナ侵攻に対抗するために西側同盟国を結集するというバイデン大統領の取り組みの裏付けとなり、トランプ前政権時代に傷ついた同盟関係を修復するというバイデン氏の公約達成に向けた一歩になると評価した。

一方、唯一の反対票を投じた共和党のジョシュ・ホーリー上院議員(ミズーリ州)は投票前の演説で、米国にとって国外における最大の脅威は欧州にあるのでなく、アジアにあるとして、米国は中国への対応を優先すべきと主張した。

(甲斐野裕之)

(米国、スウェーデン、フィンランド、ウクライナ、ロシア)

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