外国企業の米国内雇用は11年ぶり減少、日本企業も減少に転じる

(米国、日本、英国、ドイツ、カナダ、フランス)

ニューヨーク発

2022年08月22日

米国商務省は819日、外国企業の在米関連会社の活動状況に関する最新のデータ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した(注1)。それによると、2020年の外国企業の米国内での雇用者数は、新型コロナウイルスのパンデミックの影響などにより、前年比2.8%減の786万人となり、11年ぶりに減少に転じた(添付資料図参照)。

外国企業の国籍別では、英国が1217,600人(前年比5.3%減)、日本が931,900人(4.8%減)、ドイツが885,100人(1.5%増)、カナダが844,600人(3.6%減)、フランスが74100人(4.9%減)の順に、米国での雇用者数が多い。新型コロナ禍で各国企業が雇用者数を減らす中、ドイツ企業は増加に転じ、雇用者数でカナダを上回ったことから、英国と日本に次ぐ国籍別で3位に浮上した。

業種別では、製造業(2821,800人)、小売り(923,500人)、卸売り(662,000人)が多い。州別では、カリフォルニア州(828,600人)、テキサス州(669,900人)、ニューヨーク州(513,000人)で特に多い。外国企業の雇用は同年に減少したものの、国内民間部門全体の雇用数の減少幅が大きかったため、国内民間部門全体に占める外国企業による雇用者数の割合は前年の6.1%から6.4%に増加している。

日本企業の在米関連会社の状況をみると、製造業の雇用者数が534,100人と全体の約6割(57.3%)を占めて最も多く、内訳は輸送機器(211,700人)、化学(55,900人)、コンピュータ・電子製品(54,300人)、プラスチック・ゴム製品(54,000人)、機械(46,200人)などとなっている。一方、他の外国企業で雇用の多い小売りは4500人にとどまり、製造業での雇用の多さが特徴だ。製造業の雇用者数は、日本が2位のドイツ(336,700人)、3位のアイルランド(237,600人)を大きく上回り、引き続き国籍別で首位だった。州別の雇用者数では、カリフォルニア州(11300人)、テキサス州(74,300人)、オハイオ州(67,000人)、イリノイ州(57,700人)、インディアナ州(55,200人)で日本企業の雇用者数が多い。

雇用者数以外では、2020年時点での外国企業による付加価値額、不動産や工場・設備支出額、研究開発(RD)などに関するデータも公表された(添付資料表参照)。米国のGDPに寄与する名目付加価値額は前年比7.0%減の11,000億ドルだった。これは米国の産業部門全体の6.8%に相当する。また、不動産や工場・設備への支出額も前年比4.7%減の2,818億ドルに縮小した。外国企業による支出は国内産業部門の資本支出額の17.6%を占める。研究開発支出額は3.0%増の714億ドルに拡大し、米国全体の14.1%(注2)を占めた。主要国の中で日本企業は不動産や工場・設備への支出額、販売額、付加価値額、財輸出額などの活動指標で首位となっている。

2020年には雇用者数をはじめ、外国企業の活動状況を示す指標の多くが減少をみせた。商務省は新型コロナウイルスのパンデミックを理由に挙げ、統計データの制約から新型コロナウイルスと他の要因に分けて計測することはできないものの、パンデミックが外国企業の活動低下に部分的な影響を及ぼしたと認めている。

(注1)直接、間接を問わず、外国の親会社が過半を所有する在米関連会社

(注2)データ取得可能な2019年の研究開発支出総額に対する比率

(米山洋)

(米国、日本、英国、ドイツ、カナダ、フランス)

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