イタリアの7月の消費者物価指数、前年同月比7.9%上昇、減速も高水準を維持

(イタリア、EU)

ミラノ発

2022年08月29日

イタリア国家統計局(ISTAT)は810日、7月の消費者物価指数(確定値)の上昇率が前月比で0.4%、前年同月比で7.9%だったと発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。6月の前年同月比8.0%上昇からわずかに減速したが、依然として高い水準にある。

エネルギーと生鮮食品を除いたコアインフレ率上昇率は前年同月比で6月の3.8%から7月は4.1%となり、19966月以来の高水準を記録。生鮮食品と未加工食品では、9.1%上昇で、19849月以来となった。

品目別に前年同月比でみると、エネルギー価格は、価格が政府によって管理されているエネルギー項目では64.3%上昇から47.9%上昇へ減速、価格が管理されていないエネルギー項目では39.9%上昇から39.8%上昇と横ばいだった。これを踏まえ、エネルギー価格全体では、6月の48.7%上昇から7月は42.9%上昇と速度を緩めた。電力価格については、規制価格では67.6%上昇から57.3%上昇へ減速したのに対し、自由価格では87.5%上昇から109.2%上昇へさらに加速した(注)。加工食品は6月の8.1%上昇から7月は9.5%上昇へ、輸送サービスは7.2%上昇から8.9%上昇へ、非耐久消費財は2.9%上昇から3.6%上昇へ、耐久消費財は2.8%上昇から3.3%上昇となり、物価上昇に拍車がかかっている。

今回の発表を受けて、全国消費者連盟は8月11日に発表したプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「エネルギー分野の競争がまだ十分でない」とし、「電力価格の上昇幅の差が約2倍というのは、平均家計では年間、自由市場価格で690ユーロ、規制市場価格では362ユーロとなり、この差は甚だしい」とした。

イタリア商業連盟は729日にISTATによる7月の消費者物価指数の速報値が発表された際、「インフレ率の伸び幅は微減したものの、過去数十年で最高水準だ。もともとエネルギーから始まった緊張状態は今や広範囲に及んでおり、今後数カ月間、家庭の購買決定に反映され、経済成長への影響は避けられないだろう」と述べていた。

EU統計局(ユーロスタット)の8月18日の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、7月のEUの統一的な消費者物価指数(HICP)上昇率は、EUで前年同月比9.8%、ユーロ圏で同8.9%だった。イタリアは8.4%と、EUとユーロ圏の平均を下回った。

(注)イタリア政府は1999年のベルサーニ政令を受け、電力市場の自由化を段階的に進めてきた。20077月の完全自由化によって、一般家庭や零細企業を含む全ての消費者が自由に電力の供給業者を選択することが可能となったが、現在は移行期間中で、消費者の状況に応じて、当局によって保護された規制価格と、供給業者が定める自由価格が存在する。一定の条件を満たす小規模・零細企業については、当局によって保護された規制価格の適用が20211月に終了し、新たに供給事業者を選択してない場合は自動的に段階的保護サービス(Il Servizio a Tutele Graduali)に移行した。その他の零細企業や一般家庭についても、それぞれ202311日と2024110日に規制価格が終了する予定のため、それまでに供給事業者を選択しない場合は、段階的保護サービスへ移行される。

(山本千菜美)

(イタリア、EU)

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