イタリア政府、州と連携し症例監視、危機的水準ではないと声明

(イタリア)

ミラノ発

2022年08月01日

世界保健機関(WHO)が723日、欧米などで感染例が相次ぐサル痘について、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と認定したことに対し、イタリア保健省は同日、ジャンニ・レッツァ防疫局長による声明を発表した。既に州や自治県と共に個々の症例について監視するシステムが用意されていること、また現状では特別な警告を発する水準ではないとした。

イタリアでは、520日にカナリア諸島からの帰国者による最初の症例が報告されて以来、全ての症例が保健省に報告されており、6月から週に2回、モニタリング結果が保健省のホームページで発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされている。729日時点では479件で、前回調査の726日から53件増えた。うち海外からの帰国者による感染は146件。感染者の平均年齢は37歳で、最年少が20歳、最高齢が71歳。他国の症例と同様、感染者のうち476件が男性で、3件が女性と、男性が圧倒的に多い。

州別にみると、ミラノを抱えるロンバルディア州が216件と最も多く、次いで首都ローマがあるラツィオ州が101件。ボローニャなどの都市があるエミリア・ロマーニャ州が55件、ベネチアのあるベネト州が33件、トリノのあるピエモンテ州が18件、フィレンツェのあるトスカーナ州が16件となっている。

保健省によると、イタリアでは1980年まで天然痘の予防接種を行っていたため、4050代より上の世代はサル痘に対する免疫ができている可能性もある。この同種の天然痘のワクチンは現在、一般では入手できない。2019年に承認されたサル痘予防のためのワクチンについても、現状では数量が限られている状況だ。

(平川容子)

(イタリア)

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