ifo経済研究所、ドイツ経済へのデカップリングの影響など試算

(ドイツ、中国)

ミュンヘン発

2022年08月18日

ドイツの主要経済研究所の1つ、ifo経済研究所は88日、地政学的リスクを受けて新たな経済制裁などが導入された場合のドイツ経済への影響を試算外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした調査報告書を公表した。同調査は、ifo経済研究所がバイエルン州内の経済団体バイエルン経済連盟(vbw)から委託を受けて行ったもの。

調査報告書のタイトルは「地政学的課題とドイツの経済モデルへの影響」。ifo経済研究所が有する貿易関連データ(120カ国以上と65産業分野を含み、全世界の付加価値創出の9割以上をカバー)を用いて、5つの貿易政策シナリオに基づいて試算した。

同シナリオでは、以下5つが想定された。

1)生産拠点をドイツ国内に戻す(リショアリング)またはドイツの近隣国に移転させる(ニアショアリング)

2EUと中国のデカップリング(EUが中国からの輸入コストを増加、または双方で経済制裁)

3)西側諸国(注1)と中国のデカップリング(西側諸国が中国からの輸入コストを増加、または双方で経済制裁)

4)西側諸国と中国のデカップリングとEU米国の接近(西側諸国が中国からの輸入コストを増加、併せて、EUと米国が自由貿易協定を締結)

5EUが専制政治的な国(注2)からの輸入コストを増加

ドイツの実質GDPに最もマイナスなのは(1)のリショアリングで、実質GDP9.68%減少する。また、他のEU加盟国やトルコ、北アフリカに生産を移転するニアショアリングでも、実質GDP4.17%減少する。(2)~(5)でも、実質GDP0.181.69%の負の影響をもたらす試算となった。(4)では、米国との自由貿易協定(FTA)により中国からの輸入のマイナス分を補完できるが、実質GDP0.18%減少する。

ifo経済研究所は英国のEU離脱(ブレクジット)によるドイツ経済への影響について、0.14%の実質GDP減としており、どのシナリオでもドイツ経済はブレクジット以上のマイナスとなった。また、産業別では、(2)のEU・中国双方での経済制裁の場合、特に自動車(83600万ドル減)、機械(52100万ドル減)、輸送用機器(152,900万ドル減)への影響が大きい。

同調査は、リスクがあるからとして生産拠点をドイツまたは近隣国に戻す貿易政策や企業戦略は得策ではなく、グローバル化から恩恵を受けるドイツは、分散と費用のバランスに配慮しつつも、調達先・販売先の多様化をさらに進めるべきと結論付けた。また、ifo経済研究所は、企業が多様化を進めやすくなるよう、FTA網の拡充、開発途上国や米国、西側諸国との戦略的パートナーシップが重要とした。

(注1EU加盟国、英国、米国、カナダ、日本、オーストラリア。

(注2)英国「エコノミスト」誌発行企業の調査部門であるエコノミスト・インテリジェンス・ユニットが専制政治的とした58カ国。

(高塚一)

(ドイツ、中国)

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