中国外交トップ、日本に実務的で理性的な中国政策を要望
(中国、日本)
北京発
2022年08月22日
中国外交部は8月18日、外交トップの楊潔篪・共産党中央政治局委員と日本の秋葉剛男・国家安全保障局長が8月17日、天津市で「中日第9回ハイレベル政治対話」を共同で開催したと発表した。
楊政治局委員は両国関係について「平和的共存、友好協力こそ唯一の正しい選択だ」とした上で、両国の指導者の重要なコンセンサスを指針として、内外の干渉を排除し、「新たな時代の要求に合った中日関係をともに構築すべきだ」とした。
楊政治局員は「習近平主席の提案したグローバル発展イニシアチブ(注1)とグローバル安全保障イニシアチブ(注2)は、各国の平和への要求と、発展を図ろうとする普遍的な訴えに答えたもの」とした。
台湾問題については、中日関係の政治的基礎と両国間の基本的な信義に係るものだとし、「日本は両国および国民の根源的で長期的な利益という観点から、正しい中国認識を確立し、実務的で理性的な中国政策を行うべきだ。平和的発展という正しい方向性を堅持し、中日の4つの政治文書(注3)と政治的コンセンサスを守り、政治的相互信頼を強化し、ゼロサム思考を捨て、対立を管理し、両国関係をさらに成熟・安定させ、健全かつ強靭(きょうじん)なものにすることを推進すべきだ」とした。
外交部は今回の対話について「率直かつ踏み込んだ建設的なものであり、幾つかの有益な共通認識に達した」として、今後も対話と意思疎通を継続するとしている。外交部によると、「中日ハイレベル政治対話」は2015年に開始、2020年2月28日には東京で第8回が開催されたとしている。
今回の会見について、8月18日付「環球時報」は、中国と日本は長期間にわたってそれぞれの思惑に対して疑いを抱いている状態にあり、近年はさらにそれが強まっているとした。その上で「戦略的意思疎通の強化が重要」としている(「環球時報」8月18日)。
(注1)習近平国家主席が2021年9月21日の国連総会での一般討論演説で提唱。国連による持続可能な開発のための2030アジェンダの着実な実行や、発展途上国支援などを呼びかけた。
(注2)習近平国家主席が2022年4月21日のボアオフォーラムで提唱。各国の主権の尊重、国連憲章の順守、対話による国家間の対立解決などを呼びかけた。
(注3)1972年の日中共同声明、1978年の日中平和友好条約、1998年の日中共同宣言、2008年の日中共同声明を指すとされる。
(河野円洋)
(中国、日本)
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