対ロシア取引は大半が縮小、8割の企業にエネ価格高騰の影響、在英日系企業調査

(英国、ロシア、日本)

ロンドン発

2022年08月24日

ジェトロと在英日本商工会議所は823日、在英日系企業の対ロシア取引と、エネルギー価格高騰の影響に関するアンケート調査(調査期間:722日~819日、回答企業数:64社)の結果を発表した(添付資料参照)。

輸出・販売、輸入・調達、サービス提供などの取引を行う企業は回答企業の4割を占めている。これらの企業が行う対ロシア取引(注)の69%が全面的に停止、30%が一部停止しており、影響なく通常どおり行っている取引は2%にとどまった。具体的には、対ロシア輸出・販売を全面停止していると回答した企業が17社、一部停止は6社、対ロシア輸入・調達を全面停止していると回答した企業は9社、一部停止は4社となった。ロシア事業関連サービスの提供については、全面的に停止していると回答した企業が11社、一部停止が6社だった。影響の要因としては、対ロシア輸出入規制やレピュテーションリスク、物流の混乱、金融決済の困難が多く挙がった。

現在の状況が続くと仮定した場合の今後半年間の見通しについては、54%が「現在の水準が継続される」と回答した一方で、「撤退する」「いずれ撤退する方向となる」「大幅に縮減する」「現在の水準からさらに低下し続ける」とした企業が27%となった。ロシア事業の判断については約半数が「G7などによるロシア制裁の動向」を最重視していると回答した。

エネルギー価格高騰の影響を受けると回答した企業は約8割に達した。影響を受けるエネルギーの種類としては、電力、ガス、ガソリンの順でほぼ同数の回答となっており、影響度を加味すると、電力、ガス、ガソリンの順だった。企業収益の観点から今後影響の大きいエネルギーとしては電力を挙げる企業が最多だった。

価格高騰の内容については、事務所コスト、物流コスト、生産コストとともに、資材・原材料・設備価格の上昇、取引先からの価格転嫁なども挙げられた。対応策としては「エネルギー使用量の計画的削減」「省エネ効率の高い設備、器具に切り替え」という企業が多かった。次いでエネルギー源の切り替えや、再エネへの転換を行うとの回答が続いた。

(注)各社の「輸出・販売」「輸入・調達」「サービス」をそれぞれカウント。1社が全ての取引を行っている場合は3とカウント。

(山田恭之)

(英国、ロシア、日本)

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