山東省、RCEP協定利用の輸入の6割が韓国から
(中国、韓国)
中国北アジア課
2022年08月29日
中国海関総署は8月16日、山東省の青島税関と済南税関が1~7月に合計33億元(約660億円、1元=約20円)の輸入貨物に対して、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に基づく特恵税率を適用したと発表した。このうち、韓国からの輸入貨物の割合が6割(約19億8,000万元)を占めた。また、RCEP協定の適用により、企業に対する輸入関税の減免額は1億5,000万元となり、このうち韓国からの輸入に係る減免額が8割(約1億2,000万元)を占めた。
中国は2022年1月1日からRCEP協定を発効し(注1)、各種関税の減免や原産地累積規定の活用などが進んでいる(2022年1月7日記事参照)。このほか、中国と韓国間の自由貿易協定(FTA)やアジア太平洋貿易協定(APTA)など、既に中国は韓国と複数の貿易協定を締結している。
山東省へのRCEP協定を利用した輸入で韓国が高いシェアを持つ背景について、青島税関関税処の畢海軍処長は「ほとんどの品目でRCEP協定の特恵税率は中韓FTAよりも高いが、RCEP協定は化学工業品やプラスチック製品、自動車部品などの原産地規則が満たしやすい状況なことなどから、RCEP協定が選ばれている」と述べている(注2)。
山東省の対韓輸出でも貿易協定の利用進む
山東省から韓国への輸出では、1~7月にRCEP協定や中韓FTA、APTAに基づく延べ21万8,000件の原産地証明書が申請され、特恵税率が適用された貨物の総額は約450億8,000万元に達した。
同期間の山東省の貿易総額は1兆8,900億元で、うち韓国との貿易額は8.6%を占める1,617億2,000万元だった。国・地域別のシェアでは、18.7%のASEAN(3,541億元)、10.9%の米国(2,065億元)、9%のEU(1,705億元)、5.8%の日本(1,104億元)などとともに、韓国は山東省の主要な貿易相手国・地域の1つとなっている。
(注1)韓国では2022年2月1日からRCEP協定が発効。
(注2)RCEP協定の原産地規則の詳細についてはジェトロ「RCEP協定解説書(12.0MB)」を参照。
(片小田廣大)
(中国、韓国)
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