米国におけるモビリティ業界のトレンドを解説、ジェトロ報告書

(米国)

ニューヨーク発

2022年08月16日

ジェトロはこのほど、米国における自動車の自動化、コネクテッド、シェアリング・サービスなどについてまとめた報告書「米国におけるモビリティのトレンド- CASEの現状と課題」を公表した。メルセデスベンツが2016 年に発表した中長期戦略の中で「これから自動車の存在意義は『CASE』にある」と提唱して以降、ここ数年で自動車業界におけるCASEConnected(つながる)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared & Services (シェアリング・サービス)、Electric(電動化)〕の重要性は増している。本レポートでは、CASEに関連した最新技術や市場の動向、またCASEの安全性をめぐり国内外で展開されている議論や法整備の状況について解説している。

自動化に関しては、先進運転支援システム(ADAS)の開発と実装が進む中、センサー技術や通信技術、インフラのほか、人工知能(AI)を活用したソフトウエアによる認識・判断技術などの向上が目覚ましく、業種を超え多くの企業が技術開発に取り組んでいる。そこで、このレポートでは、ハードウエアとソフトウエアの両分野における最新技術に加え、企業間のパートナーシップや投資動向、インフラ整備状況、法規制、保険制度などの情報を提示している。

コネクテッド分野では、通信技術の発達によって自動車とあらゆるモノをつなげるV2XVehicle to Everything)の開発が進んでおり、車両に特化して設計されたこれまでの無線通信に加え、携帯電話用回線を利用した通信による新たなサービスの展開が期待されている。同時に、車両が外部ネットワークに接続することで生じるサイバー攻撃やデータ漏えいといったリスクに対する法整備や規制の制定も急がれている。同レポートでは、通信を含めた最近のコネクテッド技術のほか、国際連合や欧州など世界で議論されている安全性に関する基準策定の動向についても取り上げている。

シェアリング・サービスの分野では、温室効果ガスの排出削減に対する意識が高まる中、マイクロモビリティや自動車のシェアリングのほか、配車サービスといった事業の成長も見込まれている。新型コロナウイルスの流行により、一時的にシェアリング・サービスの利用者は減少したものの、既に需要は回復傾向にある。調査レポートでは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を含むシェアリング・サービスの市場動向に加え、宅配サービスやヘルスケアといった異業種とのパートナーシップを進める代表企業の取り組みなども紹介している。

電動化に関しては、「米国における自動車の電動化に伴う市場と技術の動向」(20219月)を参照いただきたい。

(大原典子)

(米国)

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