カザフスタンでロシア系企業数が増加、IT関連が顕著

(カザフスタン、ロシア)

タシケント発

2022年08月31日

ロシアによるウクライナ侵攻(20222月)後、カザフスタンに拠点をつくるロシア企業が増加している(2022年8月19日記事参照)。

カザフスタン国家統計局の資料を基に複数の地元メディアが伝えた情報によると、20223月初めに7,946社だったロシア資本を含む法人・支店の登録数は、5カ月で1804社に増加した。増加が著しいのはIT関連企業だ(ビジネス・メディア「LS818日、ニュース・サイト「アザッティク・ルフィ」819日)。

西側諸国による対ロ制裁を避けるため、ロシアのIT技術者や企業がカザフスタンの首都ヌルスルタン、国内最大都市アルマトイを中心に活動拠点を移している。大手企業ではプレイリクス(Playrix、ゲーム開発)、ティンコフ銀行(Tinkoff、金融)、ネクスターズ(Nexters、ゲーム開発)、インドライバー(InDriver、配車サービス)のほか、サンクトペテルブルクのSPB取引所などがカザフスタンで事業を開始している(ビジネス・メディア「カピタルKZ628日)。

移転増加の要因としては、a.ロシア人はビザなしで最大90日間滞在でき、労働許可なし就労が認められている(注)、b.ロシア語が普及しており言語の障壁がない、c.地元金融機関での口座開設が容易、d.ロシア同等の生活水準かつ生活費が安価、d.IT環境が比較的整っている、などが挙げられる(「フォーブス」ロシア版616日)。

カザフスタン政府も、IT技術者の定着を支援するため、アスタナ国際金融センター(AIFC2019年7月19日記事参照)とスタートアップ向けインキュベーション施設「アスタナハブ」で、税制上の優遇やワンストップサービスを導入している(「フォーブス」ロシア版616日)。

一方、ロシアから移住者の増加により、アルマトイ市などの大都市で不動産賃料が高騰しているとの報道もある(「テングリニュース」730日)。

(注)ロシアとカザフスタンが加盟するユーラシア経済連合では、域内での加盟国民の移動と労働の自由が認められている。

(増島繁延)

(カザフスタン、ロシア)

ビジネス短信 3e2f441ca22bbfcd