北京市住宅賃貸条例、9月から施行、賃料の大幅上昇に市政府の介入が可能に

(中国)

北京発

2022年08月19日

北京市住宅賃貸条例外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が91日から施行される。同条例は、住宅の賃貸契約書や、保証金の支払い・管理、住宅の転貸借、賃料のモニタリング・関与などについて明確に規範化したものとなっている。

条例では、北京市の住宅・都市・農村建設部門が住宅賃料のモニタリングを強化するとしている。関連警報メカニズムを確立・整備し、住宅賃料が顕著に上昇するか、顕著な上昇が見込まれる場合、北京市政府は賃料の値上げ報告の実施や、賃料あるいは賃料上昇幅の制限などの介入措置を講じることができるなどと規定している。

中指研究院が発表した中国の主要50都市の住宅賃貸価格指数によると、7月の北京の平均住宅賃料は1平方メートル91.2元(約1,824円、1元=約20円)で、50都市の中で最も高い水準となった。不動産の民間シンクタンク貝壳研究院の黄卉シニアフェローは、同条例の実施により、保証金のピンはねや、賃料の一方的な引き上げ、住宅賃貸用ローンの不正利用など、住宅賃貸市場の問題に有効に対応することができるようになるとし、賃料の管理・コントロールメカニズムの整備は、賃料の上昇幅を合理的な範囲に維持することに寄与すると指摘した(「中国経営報」812日)。

一方、国家統計局が発表した7月の主要70都市の住宅販売統計で、新築住宅と中古住宅の販売価格が前年同月比で下落したのはそれぞれ48都市(前月と同数)、61都市(前月より4都市増加)となった。また、17月の全国住宅投資(注1)は前年同期比5.8%減となり、全国的には住宅市場の低迷が続いている。

北京市の南東部に位置し、同市への通勤圏にある河北省廊坊市(注2)は6月、不動産需要を喚起するため、戸籍条件などの住宅購入制限の撤廃を発表した。こうした各都市の状況に応じた政策の実施が住宅市場の活性化につながるか注目される。

(注1)国家統計局によると、全国不動産開発投資は住宅投資、オフィス投資、商業施設の投資などに分かれている。このうち住宅投資は金額ベースで約76%を占めている。

(注2)廊坊市が所轄している三河市、大廠回族自治県、香河県のいわゆる「北三県」は北京市の東部に隣接している。「北三県」には同地域で住宅を購入し北京市へ通勤している人が多い。廊坊市は住宅価格の高騰を抑制するため、20176月から住宅の購入規制を実施していた。

(張敏)

(中国)

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