上半期の貿易は輸出入とも前年同期比で増加、炭酸リチウム輸出が急増

(チリ)

サンティアゴ発

2022年08月26日

チリ中央銀行が823日に発表した資料によると、2022年上半期(16月)の貿易(通関ベース)は、輸出(FOB)が前年同期比8.6%増の4988,000万ドル、輸入(CIF)が32.4%増の5318,800万ドルで、貿易収支は33800万ドルの赤字となった〔添付資料「表1 チリの主要品目別輸出(FOB)」、「表2 チリの主要品目別輸入(CIF)」参照〕。

輸出を品目別にみると、構成比の56.2%を占める鉱産物は、前年同期比0.2%増の2803,900万ドルだった。銅は、2022年上半期の国際価格の平均が7.3%増となる1ポンド=4.43ドルと高値で推移したものの、銅輸出の7割強を占める中国(構成比:54.3%)、米国(9.3%)、日本(9.3%)の3カ国向けがいずれも減少し、10.8%減となった。一方で、炭酸リチウムは、9.6倍の351,400万ドルを記録し、鉱産物輸出全体の12.5%のシェアを占めた。

農林水産物は、前年同期比13.0%増の474,800万ドルだった。果物は、ブドウとサクランボが2桁増となり、全体では13.2%増になった。果物の主な輸出先は中国(構成比:41.3%)、米国(23.9%)、オランダ(6.5%)の順だった。

工業品は、前年同期比24.3%増の1709,300万ドルだった。うち、食品のサーモンは32.3%増で、米国(構成比:47.7%)とブラジル(14.3%)向けがそれぞれ約4割増加した。飲料のボトルワインの輸出は、主要な輸出先である中国のゼロコロナ政策や、インフレ、物流コストの高騰などの影響を受け、1.1%減となった。

輸入を品目別にみると、中間財は、前年同期比42.4%増の2834,400万ドルだった。エネルギー製品の輸入が約2倍に増加し、うちディーゼル燃料は2.8倍となった。その他の中間財は、化学製品、金属製品の輸入増により、26.1%増だった。消費財は、27.6%増の1513,400万ドルだった。耐久消費財は、国内の好調な新車販売に伴い、特に自動車輸入が増加した。資本財は15.5%増で、その他の機械やトラック、牽引車の輸入が増加した。

輸出を主要国・地域別にみると、アジア向けが約6割を占め、輸出額上位3カ国は中国(構成比:39.8%)、米国(15.0%)、日本(7.1%)の順だった(添付資料表3参照)。中国向けは、これまで少なかった炭酸リチウムの輸出が大幅に増加し、米国向けはサーモンやブドウの輸出が増加した。

輸入を主要国・地域別にみると、米州からが45.7%を占め、輸入額上位3カ国は中国(構成比:26.6%)、米国(20.1%)、ブラジル(9.2%)の順だった。中国からの主要な輸入品としては、前年同期には見られなかった太陽光発電用の発電機が挙げられる。

(岡戸美澪)

(チリ)

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