四川省で中国初の世界車載電池大会が開催

(中国、日本)

成都発

2022年08月02日

中国の四川省宜賓市で72123日、車載電池に関する世界大会が開催された。中国工業情報化部と四川省政府が主催したこの大会は、大会運営委員会によると、同分野の世界大会としては中国で初めての開催となった。大会では、車載電池技術に関するノーベル化学賞を受賞したスタンリー・ウィッティンガム氏や、車載電池生産量の世界トップクラスの各社、電気自動車(EV)生産メーカー各社の代表らが発表を行った。展示スペースでは、電池関連企業134社、EV関連企業50社、充電設備関連企業74社など計287社が最新技術や製品の展示を行った。

写真 フォーラム会場の様子(ジェトロ撮影)

フォーラム会場の様子(ジェトロ撮影)

写真 展示会場の様子(ジェトロ撮影)

展示会場の様子(ジェトロ撮影)

車載電池生産の世界シェア第1位の寧徳時代新能源科技(CATL、本社:福建省)は、開催地の四川省宜賓市にも生産拠点を持ち、四川省や重慶市に集積するEVメーカーを中心に、国内各社へ車載電池を供給している。同大会のフォーラムで登壇したCATL董事長の曾毓群氏は「車載電池の世界需要を満たすために、2030年までに全世界で数テラワット時(TWh)の電力量相当の生産が必要となる」と指摘し、「急激な生産拡大には原材料確保が必要だが、CATLではニッケルやコバルト、マンガンなど主要材料の回収・リサイクルを進めており、2035年には廃電池からのリサイクルで需要の大部分を満たすことができる」と述べた。

写真 四川省宜賓市のCATL工場(ジェトロ撮影)

四川省宜賓市のCATL工場(ジェトロ撮影)

パナソニックホールディングスの本間哲朗代表取締役副社長執行役員兼グループ中国・北東アジア総代表は「現在、年間EV170万台分の車載用燃料電池の生産能力を2028年までに34倍に拡大する」「テスラと共同開発中の次世代モデル車載電池を2023年から量産開始する」と述べた。

大会ではこのほか、LGエナジーソリューションや、広州汽車、長安汽車、BYD、吉利汽車など中国大手EVメーカーのトップが各社の最新技術動向や経営方針などを紹介した。

経済産業省は4月、日本企業の世界での車載電池生産能力を現在の6070ギガワット時(GWh)から2030年までに600ギガワット時(GWh)に引き上げる目標を打ち出したが、新興企業も含めて生産量を急激に拡大する中国企業に対抗して一定の市場シェアを確保するには、大型投資や新規顧客拡大など大胆な経営判断が日本企業に必要と指摘する声もある。

(森永正裕)

(中国、日本)

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