7月の自動車国内販売台数は回復が鈍化、生産・輸出台数は好調維持
(メキシコ)
米州課
2022年08月16日
メキシコの国立統計地理情報院(INEGI)は8月5日、2022年7月の自動車統計(大型バス・トラックを除く)を発表した(添付資料表参照)。
7月の国内販売台数は8万3,137台で、前年同月比1.2%増とわずかに増加した。月間国内販売台数の前年同月比は、2021年11月の13.5%減を底に2022年5月に5.2%増まで回復したが、その後2カ月連続で増加率が低下した。1~7月の累計販売台数は60万1,561台で、前年同期と比較すると0.2%の減少になった。
メキシコ自動車ディーラー協会(AMDA)のギジェルモ・ロサレス会長は「自動車の国内販売実績の低迷」を引き起こした要因は、半導体不足による自動車在庫不足に加え、「販売価格や消費者の購買意欲に影響を与えているインフレの猛威によるもの」とし、インフレにより高騰している自動車価格が消費を冷え込ませている状況を懸念した(「エル・エコノミスタ」紙8月4日)。INEGIによると、7月の消費者物価上昇(インフレ)率は前年同月比8.15%で高止まりしている。
7月の生産台数は25万9,994台で、前年同月比で10.5%増加した。同月の輸出台数が21万170台と、4.0%増加して生産台数を下支えした。月間輸出台数は5カ月連続の前年同月比プラスを記録している。また、1~7月の累計生産台数は192万1,338台で前年同期比4.8%の増加となり、同累計輸出台数は161万4,765台と前年同期比0.5%増加した。
7月の生産台数内訳をメーカー・ブランド別にみると、ゼネラルモーターズ(GM)が6万5,747台で前年同月比27.3%増、クライスラー(Chrysler)が3万7,443台で12.1%増、フォルクスワーゲン(VW)が3万7,086台で2.0倍、起亜(KIA)が2万台で35.1%増加した。前年同月と比較して増産した企業が目立った。一方、日本メーカーは、日産自動車が2万3,509台で39.5%減と大幅に減産したほか、トヨタが1万8,218台で0.4%減、マツダが1万3,670台で9.3%増、ホンダが1万539台で4.3%減少した。
7月の自動車統計について、メキシコ自動車工業会(AMIA)は、8月8日付のプレスリリースで「自動車部品のサプライチェーンは現在の世界的な供給不足に適応するために調整を続けている」としつつも、「自動車価格の高騰やロシア・ウクライナ間の戦争の長期化が産業の回復を遅らせる要因となっている」と分析している。
(小西健友)
(メキシコ)
ビジネス短信 26d304e55f681b20