ロシアのラブロフ外相がアフリカ訪問、穀物輸出など協力関係強化へ

(ロシア、アフリカ、エジプト、コンゴ共和国、ウガンダ、エチオピア)

中東アフリカ課

2022年08月05日

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は724日から27日にかけて、エジプト、コンゴ共和国、ウガンダ、エチオピアの4カ国を訪問した。同外相は、アフリカの食料危機は西側諸国による対ロ経済制裁の影響と強調し続けた。その上で、エジプトのサーメハ・シュクリー外相との共同会見では「ロシアの穀物輸出業者が全ての契約義務を果たすことを確認した」と述べるなど、アフリカ地域への穀物輸出を約束した。

国際貿易センター(ITC)によると、アフリカ諸国は2021年にロシアから約33億ドル、ウクライナから約34億ドルの穀物を輸入している。中でも小麦については、ロシアから約30億ドル、ウクライナからも約24億ドル輸入しており、これは両国の小麦輸出でそれぞれ41%、52%を占める。こうした背景もあり、アフリカ諸国の中には対ロ経済制裁に同調していない国も多く(2022年5月9日付地域・分析レポート参照)、欧米メディアによると、ロシアにはこれらの国を囲い込む狙いがあるとされる。

また、ラブロフ外相は軍事協力についても言及。コンゴ共和国訪問後の会見では「両者は軍事と軍事技術協力の強化に関心を示した」と述べたほか、エチオピア訪問後の記者会見でも「われわれは、エチオピアの防衛能力を確保することを含め、軍事・軍事技術協力の新たな計画を実施する意思があることを再確認した」と語った。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の報告書によると、2017年から2021年(注)にかけてのアフリカ諸国の武器輸入先の44%がロシアで、米国(17%)、中国(10%)、フランス(6%)を抑えてトップだったが、アフリカ地域での軍事面のさらなる影響力強化を示唆したかたちだ。

(注)武器取引については、単年での変動幅が大きいため、5年分の取引量で比較。

(梶原大夢)

(ロシア、アフリカ、エジプト、コンゴ共和国、ウガンダ、エチオピア)

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