王毅・中国外相、ペロシ米下院議長の訪台を激しく非難

(中国、米国、台湾)

北京発

2022年08月03日

中国の王毅・国務委員兼外交部長(外相)は83日、米国連邦議会のナンシー・ペロシ下院議長が台湾を訪問(2022年8月3日記事参照)したことについて談話を発表した。王外相は「(訪台は)『一つの中国』原則に背き、悪意を持って中国の主権を侵犯するものだ。公然と政治的な挑発を行い、中国人民の強い怒りを呼び起こし、国際社会の幅広い反対を引き起こした」と述べ、「米国は台湾海峡の平和と地域の安定にとって『最大の破壊者』だ」と激しく非難した。

王外相は「米国は、中国の統一を妨げることができるという幻想を抱くべきではない」として、米国がどのような方法で「台湾独立」を支持しようとも、無駄な努力に終わるとした。その上で、台湾問題は、当時の中国は国情が乱れ、国力が弱かったことが原因であり、民族の復興に伴って終結するものだという認識を示した。

また、米国は台湾問題を自国の地域戦略に組み入れており、地域の発展の流れに逆らい、アジア太平洋地域の人々の期待に背いているとした。その上で「一つの中国」原則は既に国際関係の基本ルールとなっており、第2次世界大戦後の国際秩序を構成するものとの認識を示し、「米国は直ちに国連憲章の趣旨と原則に背く行為を停止し、『台湾カード』でアジア太平洋地域をかく乱することをやめるべきだ」と強調した。

米国が「下院議長の訪台には前例がある」としていることについては、「過去の過ちは、今日の過ちを重ねることの言い訳にはならない」とした。米国では三権分立によって政府は議会を拘束できないとの見方については、「最も基本的な国際的ルールは、米国は国際的な義務を履行しなければならず、重要な政治的人物はなおさら悪事を働いてはならないということだ」との認識を示した。その上で「台湾海峡の安定のカギは『一つの中国』原則であり、中米の平和的共存のための真の『ガードレール』(2022年7月11日記事参照)は3つの共同コミュニケ(注)だ」と強調した。

(注)1972年、1978年、1982年に発表された中国と米国間の3つのコミュニケを指す。

(河野円洋)

(中国、米国、台湾)

ビジネス短信 12978537853876c8