米商務長官が消費者物価、半導体支援、対中追加関税などの見解示す、メディアインタビュー

(米国、中国、台湾)

米州課

2022年08月15日

米国のジーナ・レモンド商務長官は810日、ブルームバーグテレビのインタビューに応じ、消費者物価指数、海上輸送費の高騰、CHIPSおよび科学(CHIPSプラス)法案の成立、対中追加関税などに関する質問に答えた。

20227月の消費者物価指数(CPI)が民間予想(8.7%上昇)を0.2ポイント下回る8.5%の上昇にとどまったことについて(2022年8月12日記事参照)、レモンド長官は「これは良いニュースだが、状況を注意深く見ている。大きな要因である原油価格は頭打ちとなったが、住居費などほかの課題に目を向ける必要がある。特効薬はなく、供給を増やさなければならない。昨日(9日)、CHIPSおよび科学(CHIPSプラス)法案が成立したが(2022年8月10日記事参照)、これは半導体チップの供給を増やすための大きな第一歩だ。原油の供給も増やし、価格の高騰を抑制するための取り組みを続ける」などと述べた。

また、同長官は、サプライチェーンの問題が改善されない中で海運業者が過去最高益を記録している状況を問われ、「われわれは(輸送費の抑制のために)多くの進展を遂げているが、まだ十分ではない。1年前や半年前は、港湾は混雑しトラック運転手も不足していたが、これらは大幅に軽減された。輸送費の過度なつり上げは以前よりも改善されたが、依然としてやるべきことは残っている」と語った。

CHIPSプラス法案については、「ジョー・バイデン大統領は同法案に署名し、米国における半導体チップの生産を通じて安全保障を確保できるようにした。われわれはこの生産プロセスにおいて、数十万もの高給の雇用を創出するだろう。商務省は省内にチームを組成し、民間セクターと協働しながら透明性を確保しつつ、可能な限り早期(数カ月以内)に資金を提供していく。加えて、同法案の成立は、アジアや欧州ではなく米国に投資すべきという、半導体産業に対する大きなシグナルだ」などと述べた。

バイデン大統領が対中追加関税に関する決定に時間を要している現状については、「これは大きな決断となる。中国との地政学的情勢は複雑で、ナンシー・ペロシ下院議長の訪台後、特に複雑化している。バイデン大統領は、米国の労働者に及ぼす悪影響を非常に注意深く検討している。しかし、大統領が近いうち決断を下すのではないかとみている」との見解を示した。また、レモンド長官は、ペロシ議長の訪台によって米中の裏ルートの議論が難しくなったが、中国が米国との議論に関心を示してくれることを望むと語った。

(片岡一生)

(米国、中国、台湾)

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