ジャクソン氏が黒人女性初の最高裁判事に就任、党派構成は変わらず

(米国)

ニューヨーク発

2022年07月01日

米国連邦最高裁判所は6月30日、ジョー・バイデン大統領が指名し4月に上院で承認(2022年4月8日記事参照)されたケタンジ・ブラウン・ジャクソン氏の判事就任を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。黒人女性として初の最高裁判事の誕生となる。同日退任したスティーブン・ブライヤー判事の後任となるが、最高裁判事の構成は保守派6人、リベラル派3人のまま変わらない(添付資料表参照)。

保守派が多数となる最高裁は最近、女性の人工妊娠中絶権を認めてきた1973年の判例を破棄(2022年6月27日記事参照)、発電所の温室効果ガス排出規制について連邦政府の権限を制限する判断を行うなど(2022年7月1日記事参照)、バイデン民主党政権にとっては痛手となる判断を行っている。米調査会社ギャラップが6月23日に発表したアンケート結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、最高裁に信頼を置くと回答した国民の割合が1年前の36%から25%まで低下している。回答者を党派別で見ると、民主党支持層(30%から13%)と無党派層(40%から25%)で大きく落ち込んでいる一方、共和党支持層では前年の34%から39%に増えており、米国民の間での分断が読み取れる。

このような中、連邦議会の民主党議員には、エド・マーキー上院議員(マサチューセッツ州)のように、最高裁判事の人数を増やして党派的バランスを取るべきと主張する議員も出ている。この案について、バイデン大統領は2020年の大統領選当時から否定的な考えを示しており、ホワイトハウスのカリーン・ジャンピエール大統領報道官は6月25日、「バイデン大統領は同意しない」と記者団に述べている(「ナショナルレビュー」6月27日)。バイデン大統領はジャクソン氏の就任に当たって声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表しているが、「ジャクソン判事の英知と経験は今後長年にわたってわれわれ全ての誇りとなるだろう」と同氏を称賛する内容にとどめている。

(磯部真一)

(米国)

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