英政府、食用昆虫認可の移行措置案を発表
(英国)
ロンドン発
2022年07月20日
英国食品基準庁は7月13日、食用昆虫の新規食品(Novel Foods)認可の移行措置の変更に関するパブリックコメントの募集を開始した。2021年8月に、食品基準庁は食用昆虫認可の移行措置が終了した旨の通知を出していたが、この通知は誤りで移行措置は引き続き有効だとした上で、新たな移行措置案を発表し、2022年8月10日まで意見を募集している(英国食品基準庁の同日付ニュース
)。
食用昆虫の新規食品認可について、新規食品規則(後述の「維持されたEU法」に該当)(EU)2015/2283第35条第2項により、2018年1月1日までに適法に上市(市場投入)され、2019年1月1日までにEUに認可申請が行われた食用昆虫は、欧州委員会が認可に関する判断を下すまでの間、上市を引き続き認めるという移行措置が定められている(2022年7月13日付パブリックコメント公募案内
)。パブリックコメントで提案されている新たな移行措置案は、英国法および英国市場との整合を取るため、2018年1月1日までにEU域内あるいは英国内で販売され、2019年1月1日までにEUに認可申請が行われた食用昆虫について、2023年12月31日までに英国(北アイルランドを除く)に認可申請を行えば、英国当局が認可の判断を下すまでの間、引き続き英国での上市を認めるというものだ。
食品基準庁が2022年1月に公表した代替タンパク質に関する調査では、肉代替という観点から、健康的で持続可能な食品に対する英国消費者の関心と需要が高まっており、食用昆虫を試食してみたい英国消費者は約4分の1になるとされている(2022年3月15日付地域・分析レポート参照)。英国食用昆虫協会のニック・ルソー代表は「昆虫食分野は継続的に成長しており、われわれの調査によると、適切に飼育され、製造された食用昆虫製品は、環境を意識する消費者に対して、栄養があり、おいしく、安全な食料を提供し、必要タンパク質量の相当な割合を満たすことができる」としている(英国食品基準庁の7月13日付ニュース
)。
英国では、EU離脱の移行期間終了時点で適用されていたEU法が「維持されたEU法(retained EU law)」として、移行期間終了後も英国国内法として適用されている(2022年2月1日記事参照)。今回の移行措置案は、「維持されたEU法」と英国国内法の整合を取ることが1つの目的とされているが、動物飼料・食品接触材・抽出溶媒それぞれに関する「維持されたEU法」へ技術的修正を行う法案についても、同日付でパブリックコメントの募集が開始されている。
(飯田俊平)
(英国)
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