企画財政部、14公共機関を財務リスクありと判断、5カ年計画を策定へ

(韓国)

ソウル発

2022年07月08日

韓国企画財政部は630日、公共機関の財務状態について、財務指標、財務成果、財務改善度を考慮した財務状況評価方法(注)に基づき、中長期財務管理計画を策定した39機関のうち、金融・基金型機関を除く27機関について評価した結果、韓国電力をはじめとした14機関を「財務リスクのある機関」として選定した。同部による14機関の財務状況分析の概要は以下のとおり。

1.事業収益性の悪化(またはその兆候がある)機関:9機関

1)韓国電力(連結)と子会社の韓国水力原子力、ならびに発電5社:7機関

韓国電力は原油高、エネルギーミックスの変化などで、2021年に59,000億ウォン(約6,136億円、1ウォン=約0.104円、連結)の営業赤字を計上するなど、財務構造が悪化している。

発電子会社は新規発電所の建設と再生可能エネルギーへの投資拡大で、負債比率の増加傾向が続いている。

2)韓国地域暖房公社:1機関

原材料価格の上昇など経営環境の変化が当期純利益に大きな影響を及ぼした。

3)韓国土地住宅公社:1機関

好調な不動産市況により当期純利益が改善しつつあるが、大規模な事業の推進で負債規模は増加傾向にある。利上げなどで外的要因が悪化した場合、大規模な負債に対する金融コストの上昇などの財務リスクに直面する可能性がある。

2.財務構造が全般的に脆弱(ぜいじゃく)な機関:5機関

1)資源関連の公社(石油公社、公害鉱業公団、ガス公社、石炭公社):4機関

海外投資による資産の毀損(きそん)や低収益構造の影響により、当期純損失が拡大した。資本欠損または負債比率が300%以上となっている。

2)韓国鉄道公社:1機関

新型コロナ禍による売り上げ減少、高速鉄道以外の事業での損失が続いたことにより、負債比率が増加している。

同部は上記機関に関し、経営実態に合わせた管理を進める計画としている。具体的には、非中核資産の売却、投資・事業の整備、経営効率化対策などを含めた5カ年の「財政健全化計画」を7月末までに策定する。その後、「中長期財務管理計画」を8月末までに策定し、実施状況をモニタリングする。

(注)過去5年間の事業収益性や、財務安全性指標の実績、今後の見通しなどの評価(16点満点)、過去3年間の財務・予算の運営成果の評価(4点満点)、負債比率、純有利子負債の対総資産比率の直近2年間の改善(2点、加点)などで評価。

(当間正明)

(韓国)

ビジネス短信 d8fb113bbc7efd09