EU理事会、森林破壊防止のデューディリジェンス義務化に関する規則案に合意

(EU)

欧州ロシアCIS課

2022年07月07日

EU理事会(閣僚理事会)は6月28日、森林破壊防止のためのデューディリジェンス義務化に関する規則案について、EU理事会としての交渉上の「立場」に合意した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。同規則案は、欧州委員会が2021年11月に提案していた(2021年11月19日記事参照)もので、商品作物用農地の拡大に伴う世界的な森林破壊や森林の劣化を防止することが目的。EUはこうした商品作物の主要な消費地で、環境へ与える影響が大きいことから、EU域内に供給される、あるいはEUから輸出される商品作物に関し、森林破壊によって開発された農地で生産されていないこと(「森林破壊フリー」)を確認するためのデューディリジェンスを求めるとしている。

同規則案に基づくデューディリジェンス義務の対象となる商品作物は、パーム油、牛肉、木材、コーヒー、カカオ豆、大豆。また、対象産品を原料とする皮革、チョコレート、家具などの派生製品も対象となる。これらの対象品をEU市場に供給する事業者は事前に、その産品が「森林破壊フリー」で、生産国の法令を順守していることを確認するためのデューディリジェンスを実施し、管轄する加盟国当局へ報告することを義務付ける。EU域外の事業者が対象産品をEU市場に供給する場合は、その産品をEU市場で最初に流通・販売するEU域内で設立された事業者がデューディリジェンスの実施義務を負うことになる。

EU理事会の修正案では、デューディリジェンスの実施にかかる仕組みをより明確にし、手続きが二重とならないように簡素化したほか、中小企業など小規模事業者については、大規模事業者がまとめて報告を作成できるようにするべきとした。

また、EU理事会は、「森林劣化」の定義を明確化し、原生林をプランテーション用地に転換するなど森林被覆を構造的に変化させることとし、定量的、客観的、国際的に認められたデータに基づいて測定可能なものとすべきとした。さらに、「先住民族の権利に関する国連宣言」への参照を複数追加し、人権保護に関する内容を強化している。

今後、EU理事会は今回合意した立場に基づき、欧州議会と同規則案の成立に向けた協議を進めることになる。なお、欧州議会は9月の本会議で、欧州議会の立場を採択する予定。

(土屋朋美)

(EU)

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