欧州委、夏季経済予測でギリシャのGDP成長率を2022年4.0%、2023年2.4%と発表

(ギリシャ、EU)

ミラノ発

2022年07月27日

欧州委員会が714日に発表した夏季経済予測外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(中間予測)によると、ギリシャの2022年第1四半期(13月)の実質GDP成長率は前期比2.3%となった。ギリシャでは好調な労働市場が消費を支え、投資が大幅に強化されたことを受け、経済成長の勢いが維持されるかたちとなった。一方で、貿易相手国の景気低迷や国際的なサプライチェーンの混乱が続いていることから、輸出が減少した。

欧州委は2022年のギリシャの実質GDP成長率を4.0%と予測。前回5月の春季経済予測から0.5ポイント上方修正し、EU平均の2.7%を大きく上回ると予測している。2022年に観光業は堅調となり、2023年までには新型コロナウイルス感染拡大前の水準に回復するとみている。

2022年のギリシャの消費者物価指数(CPI)上昇率は8.9%と、前回予測から2.6ポイント増とし、EU平均の8.3%を若干上回る予測となっている。

夏季経済予測は2023GDP成長率予測を大幅に修正、高インフレ率を示唆

欧州委は、ロシアのウクライナ侵攻に起因する高インフレ継続などを懸念に挙げ、EU2023GDP成長率は1.5%(前回予測2.3%)、CPI上昇率は4.6(3.2)と、それぞれ前回予測から大幅に修正した(2022715日記事参照)。ギリシャに関しても、2023年のGDP成長率は2.4%と、前回予測から0.7ポイント下方修正し、経済成長が減速する見通しだ。また、CPI上昇率は3.5%(前回予測から1.6ポイント増)に達すると予測した。

ギリシャの2022年第1四半期のGDP成長率は前回予想を上回ったものの、インフレ率の上昇とそれによる実質可処分所得の圧迫の影響は2022年後半に表れるとみられる。高インフレの継続に加え、特に投入コストの上昇の影響を受ける分野の生産高の伸び悩みにより、雇用創出力が薄れ、第2四半期(46月)以降の家計消費の足かせになることが懸念される。

欧州委は今回の成長率予測の下振れリスクとして、インバウンド観光客の購買力の不確実性に加え、エーゲ海国境でトルコとの緊張が高まっていることや、ウクライナ情勢などが観光業に直接影響を及ぼす可能性を挙げた。また、ギリシャ政府によるEUの復興レジリエンス計画(RRP)の推進にもかかわらず、今後、民間投資は鈍化すると予測され、高いインフレ率と相まって、2023年の成長は減速するとの見方を示した。

(井上友里)

(ギリシャ、EU)

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