石油・ガス関連労働者のスト、政府の強制仲裁で終結へ
(ノルウェー)
ロンドン発
2022年07月06日
ノルウェー石油ガス協会(NOS)は7月3日、石油・ガス関係の海上労働者によるストライキの結果、同国のガス生産が減少する可能性があることを発表。しかし、政府の強制介入により、NOSは5日にストライキの終了を発表した。
ストライキは、ノルウェーの労働組合組織「レデルネ(Lederne)」がNOSとの賃金協定案を否決したことによるもの。一方、レデルネを除く他の組合は既に労働賃金協定を締結しており、これはノルウェー大陸棚(Norwegian Continental Shelf:NCS)で活動する従業員の約85%をカバーしている。NOSの7月5日付発表によると、ストライキは7月5日、6日、9日に予定され、6日のストライキでは大陸棚からの石油生産が13万バレル、ガス輸出が29万2,000石油換算バレル減少し、損失額は5億2,100万ノルウェー・クローネ(約67億7,300万円、NOK、1NOK=約13円)となる。さらに9日のストライキでは、石油生産量が34万1,000バレル、ガス輸出量が111万7,000石油換算バレル減少し、損失額は18億2,600万ノルウェー・クローネとなるとNOSは推計した。
NOSの5日付発表によると、ノルウェーは欧州全体のエネルギーの約4分の1を供給している。ロシアのエネルギー供給削減の影響を受け、欧州によるノルウェーへのエネルギー依存度が高まる中、秋から冬に向けてガスの備蓄を進める欧州各国にとって、7月9日のストライキに起因するガス生産の減少は大きな懸念材料となり得るとしていた。
その後、政府が賃金交渉について強制仲裁を提案したことで、7月5日にストライキの終了をNOSが発表。石油・ガス関係の海上労働者は可能な限り速やかに業務を再開するよう要請された。
(菅野真)
(ノルウェー)
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