2021年の温室効果ガス排出量は6億8,000万トンと推計、前年比3.5%増

(韓国)

ソウル発

2022年07月05日

韓国環境部の温室効果ガス総合情報センターは6月27日、2021年の韓国の温室効果ガス(GHG)排出量を推計(暫定値)したところ、前年比3.5%増の6億7,960万トンだったと発表した。韓国がパリ協定に基づく国別排出削減目標(NDC:Nationally Determined Contribution)の基準年とした2018年との比較では、6.5%の減少となる(注1)。

国連の国家温室効果ガスインベントリの算定方法に基づく分野ごとの排出量の内訳を見ると、「エネルギー」分野が5億9,060万トンと排出量全体の86.9%を占めた。次いで「工業プロセス」分野が5,100万トンで7.5%、「農業」分野が2,120万トンで3.1%、「廃棄物」分野が1,680万トンで2.5%と推計された(添付資料表1参照)。

排出量の最も多い「エネルギー」分野の内訳を見ると、発電部門が前年から約400万トン増加し2億2,200万トンとなった。産業活動の回復による電力需要の増加によって発電量は前年比4.5%増加したが、既存の石炭火力発電の削減と高効率の新規プラントの運用開始や液化天然ガス(LNG)発電の増加により、GHG排出量は同1.8%の増加に抑制したとしている(注2、添付資料表2参照)。

その他、発電部門と同様に「エネルギー」分野の主要な排出源となっている製造業部門では、「鉄鋼」が同440万トン(4.7%)増加し9,750万トン(添付資料表3参照)、「石油化学」が前年比580万トン(12.4%)増加した5,270万トンだった(添付資料表4参照)。輸送部門では同160万トン(1.7%)増の9,790万トン(添付資料表5参照)、商業・公共・家庭部門では、年始の寒波の影響により都市ガスの使用量が増加し、前年比60万トン(1.4%)増の4,420万トンとなった(添付資料表6参照)。

(注1)韓国のNDCでは、2030年の目標として、2018年比で40%の削減を公約としている(2021年10月27日記事参照)。

(注2)2021年の発電電力量は577テラワット時。2021年のGHG排出量は2億2,200万トン。

(当間正明)

(韓国)

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