米運輸省、国内85の空港に約10億ドルのインフラ改善資金提供を発表

(米国)

ニューヨーク発

2022年07月11日

米国運輸省(DOT)は77日、全国85の空港を対象に、約9億6,860万ドルの資金提供を行うことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。資金は202111月に成立したインフラ投資雇用法(2021年11月9日記事参照)による予算から拠出される。同法では、老朽化が進む国内の空港の現代化を目的に、毎年約10億ドルを5年間にわたって拠出することとなっており、今回の発表は1年目の拠出先となる。

発表に当たって、運輸省のピート・ブティジェッジ長官は「米国は現代の航空時代を世界にもたらした国だが、世界各国で発表される空港の質に関するランキングのほとんどで、国内の空港は上位25位以内に1つも入っていない」と述べた(「ワシントン・ポスト」紙電子版77日)。英国の航空サービス調査会社スカイトラックスが実施した2022年の空港満足度調査では、首位のカタールのドーハ・ハマド空港、2位の日本の羽田空港、4位の成田空港など、アジアや中東、欧州の空港がトップ10を占めているのに対して、米国の空港は最高位のシアトル・タコマ国際空港でも27位にとどまり、ランキング上で米国の空港の順位は世界主要国の中で相対的に低くなっている。今回の資金提供によってこうした状況を改善したい考えだ。

資金は航空管制塔の増設・改修やゲート増設などのターミナル容量の拡大のほか、手荷物検査所・セキュリティーチェックの追加やトイレの整備・新設といった利用者の利便性向上のためのインフラ投資に振り分けられる。資金提供の対象となる主要空港としては、前述のシアトル・タコマ国際空港(ワシントン州)のほか、ロサンゼルス国際空港(カリフォルニア州)、デンバー国際空港(コロラド州)、ジョージ・ブッシュ・インターコンチネンタル空港(テキサス州)などとなっている(詳しくは対象リスト参照PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。

ニューヨーク市のラガーディア国際空港では、今回の計画の以前から進められてきた、2017年の着工以来6年間で80億ドルを投じたリニューアル工事が完了し、セルフサービスのチェックインやデジタルIDによるスクリーニングなど、最新設備を備えたターミナルが新設されている。今回の計画により、米国の空港の利便性向上に向けたインフラ投資が今後加速していく可能性がある。

(宮野慶太)

(米国)

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