2021年の米対内直接投資残高は1割増、日本が3年連続で首位

(米国、日本)

ニューヨーク発

2022年07月22日

米国商務省は721日、2021年末の米国の対内直接投資残高が前年比11.3%増の4兆9,775億ドルになったことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。外国からの直接投資残高は、前年末に比べ5,061億ドル拡大した。国別では、前年に続き日本が最大の投資元となっており、輸送機器、化学、卸売り、金融・保険など日本の主要な投資先業種において、投資残高の堅調な増加がみられた。

投資元上位5カ国では、日本が前年比408億ドル増の7,210億ドルで首位となり、次いでドイツ(6,365億ドル)、カナダ(6,073億ドル)、英国(5,652億ドル)、アイルランド(3,530億ドル)の順となった(添付資料図参照)。上位5カ国では、前年3位のドイツがカナダを抜いて2位に浮上したほか、フランスに代わりアイルランドが5位に順位を上げるなどの変動がみられた。日本は2019年以降、3年連続で米国にとって最大の投資元となっている。

2021年末時点における日本からの直接投資残高の内訳をみると、全体の約5割を占める製造業では、輸送機械の投資残高が前年比37億ドル増の651億ドル(構成比9.0%)に拡大した(添付資料表参照)。同業種においては、トヨタ自動車が、12月に129,000万ドルを投じ北米初の電気自動車(EV)用バッテリー工場をノースカロライナ州に建設する計画を発表したほか(2021年12月7日記事参照)、既存の国内生産拠点への投資など明らかにしている。

日本からの業種別投資残高が最大の化学は、前年比30億ドル増の1,569億ドル(構成比21.8%)となった。同業種では、富士フイルムが3月に、バイオ医薬品の大型製造拠点をノースカロライナ州に建設することを発表した。投資額は20億ドルで、2025年春までの稼働を予定している(2021年3月23日記事参照)。

他方、非製造業においては、卸売業の投資残高が前年比97億ドル増の1,246億ドル(構成比17.3%)に拡大した。同分野においては、5月にセブン&アイ・ホールディングスの米国子会社が、米石油精製会社マラソン・ペトロリアムから同社が主にスピードウェイ(Speedway)ブランドで運営するコンビニエンスストア事業などを210億ドルで取得した。同案件は、2021年の日本企業による最大の米国企業買収となる。

ドル高やインフレ高進など米国での事業コストが上昇する中、外国企業の投資拡大のモメンタムは2022年も継続するのか、今後の対米投資の動向が注目される。

(米山洋)

(米国、日本)

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