世界銀行報告書、新型コロナ禍でアジア大洋州地域で電子決済拡大

(ASEAN、南西アジア、オセアニア)

アジア大洋州課

2022年07月07日

世界銀行は6月29日、新型コロナ禍によって、アジア大洋州含む世界において、電子決済の利用が急増したとするプレスリリースを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同行は、結果として新たな経済機会が生まれ、口座保有の男女間格差が縮小し、家計レベルで強靭(きょうじん)性が高まり金融ショックへの対応力が向上していると、「グローバル・フィンデックス・データベース2021外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」報告書で指摘する。「デジタル革命は世界全体で金融サービスへのアクセスと利用を促進し、人々による支払いと受け取り、借り入れ、貯蓄の方法を変容させている。」と、デイビッド・マルパス世界銀行総裁は指摘した。

ASEAN、オセアニアからなるアジア大洋州地域をみると、銀行などの金融機関の口座またはモバイル口座保有人数が成人人口に占める比率は、前回の2017年調査から2021年にかけて、カンボジア、ミャンマー、フィリピン、タイにおいて大きく伸びた。カンボジアは22%から33%へ、ミャンマーは26%から48%へ、フィリピンは34%から51%へ、タイは82%から96%へ拡大した。ASEANでは、今回伸びたタイ以外では、シンガポール(98%)、マレーシア(88%)の比率が高かった。他方、カンボジアに加えて、ベトナム(31%)とラオス(37%)の水準は低かった。なお、オーストラリアやニュージーランドはほぼ100%に近い。支払いや受け取りへの電子決済利用者が成人人口に占める比率は、ASEAN全てで上昇している。例えば、タイは2017年の62%から2021年は92%に急上昇した。

南西アジア地域については、口座保有率の拡大にASEANほど目立った勢いはない。ネパールが45%から54%、スリランカが74%から89%に拡大したものの、インド(78%)、バングラデシュ(53%)、パキスタン(21%)などは伸び悩んでいる。電子決済利用者率については、パキスタンが18%で前回調査と変化がない以外は、スリランカの55%を筆頭に、各国ともに比率は拡大している。口座保有者数の男女間格差や、貧困層と富裕層の間における保有者数の差も大半の国で縮小している。

(新田浩之)

(ASEAN、南西アジア、オセアニア)

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