米シェブロン、海洋石油・ガス開発作業員の熱ストレス把握する生体認証技術を開発へ

(米国)

ヒューストン発

2022年07月20日

米国石油大手シェブロン(本社:カリフォルニア州サンラモン)は718日、屋外で作業する海洋石油・ガス開発作業員にかかる熱ストレスを携帯端末によりリアルタイムで把握可能なウエアラブル生体認証デバイスの開発計画を発表した。

発表によると、シェブロンは2018年からメキシコ湾沖合で働く海洋石油・ガス開発作業員を熱ストレスから守るウエアラブル生体認証デバイスの開発を始め、2020年には米国スタートアップ企業のエピコア・バイオシステムズ(本社:マサチューセッツ州ケンブリッジ)と共同で、脱水症の監視に役立つウエアラブルパッチの開発に着手したとしている。

今夏に試験を見込む改良モデルでは、これまで課題だった発汗の減少をリアルタイムで自動解析する機能を盛り込んでいる。さらに、休憩や水分補給、日陰への移動のタイミングをスマートフォンで通知する。

屋外作業員は熱中症にかかるリスクが高く、死に至る恐れもある。米国疾病予防管理センター(CDC)によると、米国では毎年約600人が熱中症で死亡しているという。シェブロンは「今回の生体認証技術が広く採用されれば、熱中症予防のゲームチェンジャーとなる可能性がある」としている。

米国では連日の猛暑が続いており、特にメキシコ湾の海洋石油・ガス開発の中心地テキサス州では、710日と13日に同州での連日の記録的な猛暑による電力需給逼迫のため、州内の家庭や企業に対して週内2度の節電要請が行われた(2022年7月19日記事参照)。特に炎天下の屋外での海洋石油・ガス開発作業員の作業環境は厳しさを増している。

ウエアラブル生体認証デバイス開発を統括するシェブロンのミシェル・スチュワート氏は「健康に関するウエアラブル生体認証技術の開発は、安全衛生業界にとって、新たなフロンティアだ」と述べている。

(沖本憲司)

(米国)

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