猛暑の米テキサス州、停電回避へ週内2度目の節電要請を実施

(米国)

ヒューストン発

2022年07月19日

米国テキサス州内の9割の電力系統運用を行うアーコット(ERCOTElectric Reliability Council of Texas)は713日、同州での連日の記録的な猛暑による電力需給逼迫のため、州内の家庭や企業に対し週内2度目の節電要請を行った。アーコットは710日に、最初の節電要請を行い、停電は回避されている(2022年7月13日記事参照

アーコットは、713日午後29時の時間帯における自主的な節電を求めた。節電要請は、予測される余剰電力量が30分以上にわたって2,300メガワット(MW)を下回る可能性がある場合に実施される。特に電力需給が逼迫すると予想された713日午後3時から4時までの間の電力供給量は79,357MW、電力需要量は78,451MWで、余剰電力量は906MWと予想され、節電要請基準を大幅に下回ることが見込まれていた。なお、節電要請の結果、同日の停電は回避された(ブルームバーグ713日)。

アーコットは、今回の節電要請の主な要因として、(1)テキサス州をはじめ米国中部を広く覆う熱波により電力需要が大幅に増加していること、(2)風がほとんど吹かず、風力発電が例年同時期の発電量を大幅に下回っており、風力発電は発電容量の12%程度にとどまっていること、(3)テキサス州西部で雲が発達しており、太陽光発電の発電量が減少していること、を挙げている。

北米トヨタは714日、テキサス州サンアントニオの製造工場で、熱波が州内の電力供給を圧迫しているため、生産規模を縮小していると発表しており(ロイター714日)、今回の節電要請は企業の経済活動に影響を及ぼしている。

ノルウェーのエネルギー関係調査会社ライスタッド・エナジーのライアン・クロンク氏は「米国で最も人口が増加している州の1つであるテキサス州では、電力需要も増加している。テキサス州の電力網は、他州とは接続されておらず、近年の異常気象と相まって電力網に大きな負担をかけている」と前置きした上で、「気候に優しく安全な送電網を維持するためには、長期的に大規模な蓄電設備や再生可能燃料に投資する必要がある」と警告している(エネルギー関連オンライン情報サイト「リグゾーン」714日)。引き続き猛暑が続くと予想される中、アーコットには安定した電力系統の運用が求められている。

(沖本憲司)

(米国)

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