上半期の貿易は輸出が牽引し2桁増に、6月単月では輸入が減速
(中国)
北京発
2022年07月20日
中国海関総署の2022年7月13日の発表によると、2022年上半期の貿易総額(ドル建て、以下同)は前年同期比10.3%増の3兆791億ドルとなった(添付資料表1参照)。そのうち輸出額は14.2%増の1兆7,323億ドル、輸入額は5.7%増の1兆3,468億ドルで、貿易収支は3,855億ドルの黒字だった(注1)。なお、貿易貨物輸送量は前年同期比6.9%減となった。そのうち輸出は6.0%減、輸入は7.3%減と輸出入ともマイナスになっている(注2)。
海関総署の李魁文報道官は、上半期の貿易が好調だった理由として、新型コロナウイルス感染拡大やウクライナ危機にもかかわらず世界の需要が相対的に安定していたこと、国内の生産需要が徐々に回復し輸入増加の下支えとなったこと、局所的な感染拡大が起きた長江デルタや珠江デルタ、東北地域などの貿易が回復した(注3)ことなどを挙げた。
国・地域別では、3大貿易パートナーであるASEAN、EU、米国向けの上半期の輸出額がいずれも2桁増となった。6月単月でも、EU向けの前年同月比25.1%増を筆頭に2割前後の伸びとなった(添付資料表2参照)。輸入については、上半期全体ではEU、日本を除く主要パートナーの伸びはプラスだったが、いずれも1桁台にとどまった。さらに、6月単月の輸入の伸びを前月と比較すると、EUと韓国は減少幅が拡大、米国はプラスにとどまったものの大幅な減速、台湾はマイナスに転じるなど、全体として減速傾向となった。なお、ロシアとの6月の貿易は、輸出が17%減だった一方、輸入が56.3%の大幅増となったため全体では2割増になった。
6月の輸出を品目別にみると、自動車および自動車部品、集積回路などが2桁増となった。輸入では、食糧や大豆が数量ベースで2割以上減少したほか、工作機械も数量が4割近く減少、集積回路も金額の減少幅が拡大した。原油・石炭・天然ガスは、数量がいずれも減少したものの単価の上昇により輸入額がいずれも2桁以上の増加となった。
海関総署の李報道官は今後の見通しについて、一定の不安定性や不確実性は依然として存在するものの、世界の需要は相対的に安定しており、国内の生産需要も徐々に回復していることから、下半期の貿易も引き続き安定的な成長を維持する、との見方を示した。
(注1)元建てでは、貿易総額が前年同期比9.4%増で、輸出額が13.2%増、輸入額が4.8%増となった。
(注2)6月の貨物輸送量は前年同月比9.7%減、うち輸出が5.8%減、輸入が12.0%減だった。
(注3)海関総署によると、長江デルタの貿易額の伸び率は5月が4.8%、6月は14.9%と回復傾向にある。
(小宮昇平)
(中国)
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