入国管理のデジタル化計画を発表、貿易手続き簡素化の実証も開始へ

(英国)

ロンドン発

2022年07月27日

英国のプリティ・パテル内務相は720日、国境のデジタル化に向けた計画を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同計画は、事前のスクリーニングと国境での技術活用を通じ、電子ゲートや入国管理官とのやり取りを経ずに英国への入国を可能にするとしている。内務省は2024年の実証開始を目指す。

同計画は内務省が6月に発表した「移民制度に関する新計画PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」の一環。この新計画は、渡航計画の段階から出入国関連の手続きを全てデジタルで行うことを目指している。これに向けて以下のような取り組みを挙げている。

  • 渡航申請に当たり、身元情報の取得や認証などの手続きをより簡素化し、シームレスにする。ビザスポンサーとなる企業のライセンス申請を電子化し、システムを簡素かつ利用しやすくする。
  • 電子渡航認証(ETA)の導入を含めたセキュリティーチェックを渡航前に可能にする取り組みのほか、電子ビザを拡大する。ETAEU加盟国、日本など渡英に当たってビザが不要な国の国民向けに2023年中に段階的に導入する。
  • 英国国境での入国管理については、電子ゲートの利用が現在認められる人々(注)に対し、対象年齢の拡大などを通じて、2023年末までに利用をさらに促す。同年以降は学生ビザ保有者などに電子ゲート利用対象者を拡大する。さらに、長期的には研究機関や企業などと連携して、国境の自動化に向けた取り組みを実施、特定国からの入国を対象とした事前承認の実証などを行う。

モノの移動も国境手続き改革に向け実証開始

ジェイコブ・リース・モグ内閣府国務相は713日、技術やデータを活用して、国境を超えるモノの移動の手続きの簡素化、迅速化を図る「エコシステム・オブ・トラスト(EoT)」の実証開始を発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますEoT202012月の「2025年英国国境戦略PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」の中で構想が発表されており、「信頼できる貿易業者(trusted trader)」として認められた者について、輸出入に係る手続きを簡素化することを目指す。

2021年12月から実証への参加企業の募集が行われPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、今回、日本の富士通のほか、米ソフトウエア企業のアザーク、米IBMとデンマークのマースク、英チェインバイン、米パランティル、英輸出・国際貿易研究所の6つのコンソーシアムが採択された。実証は2022年末まで行われる。

(注)英国、EU・EFTA、オーストラリア、カナダ、日本、ニュージーランド、シンガポール、韓国、米国の国民で、かつ登録旅行者サービスの登録者である12歳以上が対象外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(山田恭之)

(英国)

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