米ネットフリックス、収益伸び悩みで新たに300人解雇

(米国)

サンフランシスコ発

2022年07月04日

米国動画配信大手のネットフリックス(本社:カリフォルニア州ロスガトス)は6月23日、全従業員の約3%(注1)に当たる300人を新たに解雇したことを明らかにし、複数のメディアが報じた。同社は2022年5月に約150人を解雇しており、今回はそれに続くもの。今回の人員削減は、複数の事業部門にまたがるが、その大部分は米国で行われた。同社は大型投資を継続する一方、2022年に入ってから収益の伸びが鈍化している。2021年各四半期の収益の伸び率は前年同期比16~24%増だったのに対し、2022年第1四半期は9.8%増にとどまった。さらに、世界の有料会員数は2022年第1四半期に20万人減少しており、第2四半期には200万人もの減少が見込まれている。

低調の背景には、競合他社の成長があるとみられる。2007年に動画配信サービスを開始した同社は近年、独自に映画やドラマの製作も行ってきたが、他社が同様のコンテンツをそろえるプラットフォームを立ち上げたことに加え、テレビ局各社が個別に動画配信サービスを開始するなど、消費者の選択肢が著しく増加している。調査会社のニールセンが2022年6月16日に発表した5月の調査結果によると、動画配信サービスによる視聴がテレビ視聴時間全体の31.9%を占め、そのうちネットフリックスが最大の6.8%を占める一方、ユーチューブが6.7%で肉薄している(注2)。他方、2021年5月~2022年5月の1年間でみると、視聴時間に関し動画配信サービス各社のシェアに大きな変化はなく、ネットフリックス6.0~7.0%、ユーチューブ5.7~6.7%、フールー2.9~3.4%、アマゾンプライム2.1~2.6%、ディズニープラス1.3~1.8%、HBOマックス1.0%(2022年4~5月のみ)となっている。

(注1)同社の全世界におけるフルタイム勤務者数は、2021年末時点では1万1,300人。内訳は、米国・カナダで8,600人(76%)、欧州・中東・アフリカで1,400人(12%)、中南米で400人(4%)、アジア太平洋で900人(8%)。

(注2)2022年5月時点シェア:その他(ゲームやDVDプレーヤーなどを含む)が9.6%、フールー3.4%、アマゾンプライム2.6%、ディズニープラス1.7%、HBOマックス1.0%。

(田中三保子)

(米国)

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