ASEAN製造業、インフレなどで景気拡大に暗雲

(ASEAN、インドネシア、シンガポール、ミャンマー)

ジャカルタ発

2022年07月13日

IHSマークイットが75日にウェブサイトで発表したASEAN主要7カ国(注1)の製造業購買担当者景気指数(PMI)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますをジェトロがまとめたところ、2022年第2四半期(46月)のASEAN全体のPMI(注2)は、同年第1四半期(13月)に引き続き、全ての月で景気上昇の水準である50.0を上回った。一方で、域内の多くの国で、インフレやエネルギー価格の高騰、原材料不足により、景気上昇に失速の傾向が見られるとの指摘もされている。

6月のPMIを国別にみると、需要の増加と生産量の増加に伴い、シンガポールがASEAN主要国で最高の57.5を記録した。シンガポールの報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは「販売価格の上昇など景気の下振れリスクの顕在化にもかかわらず、企業景況感は良い」としている。インドネシアは4月に51.9を記録したが、5月(50.8)と6月(50.2)は連続して下落した。要因としてはインフレのほか、202241日から付加価値税(VAT)が10%から11%に引き上げられたことも指摘されている。ミャンマーは国軍による20211月の権力掌握(2021年2月1日記事参照)以降、長らく50を下回っていたが、20224月に50.4を記録した。しかし、5月(49.9)、6月(48.2)には、景気減速水準まで再び後退した。ミャンマーの報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは「インフレは依然として強く、長引く政情不安も製造業を圧迫している」とした上で、「ミャンマーの製造業がすぐに成長軌道に乗ることはない」と予測している。

(注1)インドネシア、ベトナム、タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン、ミャンマーの7カ国。

(注2)製造業の購買責任者を対象に、生産高や新規受注、在庫レベル、雇用状況、価格などの指数に一定のウエートを掛けて算出する指数。0から100の間で変動し、50.0は「前月から横ばい」、50.0を超えると「前月比で改善や増加」を意味して景気拡大を示し、50.0未満は「前月比で悪化や減少」として景気減速を表す。

(シファ・ファウジア、上野渉)

(ASEAN、インドネシア、シンガポール、ミャンマー)

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