政府がイノベーションのための投資促進戦略を発表

(アイルランド)

ロンドン発

2022年07月19日

アイルランド政府は711日、イノベーションのための国家スマート特化戦略2022-2027外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。同戦略はアイルランド各地の特有の強みを特定し、投資を促進することを企図したもの。政府は技術系大学への投資や、中小企業と高等教育機関と間の技術移転を支援するとしている。技術系大学での産業関連の研究や、中小企業と高等教育機関の間の技術移転につながる取り組みなどに資金を提供する予定。

同戦略では以下の5つの優先分野に焦点を当てている。

  • デジタル化およびデジタルトランスフォーメーション
  • 企業のグリーントランスフォーメーション
  • イノベーションの普及
  • 研究、開発、イノベーションに関する国際協力
  • 国・地域レベルの企業研究とイノベーションシステム改善

戦略策定時に行われた分析によると、アイルランドは情報通信技術(ICT)、製薬、農業食品、再生可能エネルギーなどの分野が強みとされている。

同戦略では、アイルランドを、ダブリンを含む中部・東部、北部・西部、南部に分けて、経済状況や優先産業を紹介。東部・中部では先端製造業、再生可能エネルギー、アグリテック、ICT、フィンテック、ライフサイエンスなどが強みとした。第2の都市コークを含む南部では医薬、医療テック(メドテック)、ICTが集積しているほか、クリエーティブ、自動車・航空などを強みとして挙げた。他の2地域と比べて経済規模やイノベーション関連の支出が少ない北部・西部については、比較的生活費が抑えられることや、ハブ構築に向けた取り組みなど、スタートアップの活動にとって重要な要素を有しているとした。例えば、ゴールウェイには技術センターや国立大学などのエコシステムがあり、同地域のスタートアップの大半が金融サービス向けのICTやメドテック関連とされている。同地域については、ICT、先端製造業、再生可能エネルギー、メドテックを強みとして挙げている(注)。

未来のモビリティー向け実証施設がオープン

今回の戦略で自動車関連に強みがあるとされた南部地域では、未来のモビリティー開発施設アイルランド・フューチャーモビリティーキャンパス(FMCI外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます715日にオープンした(同施設のツイッター)。同施設ではACESAutonomous:自動運転、Connected:コネクテッド、Electric:電動化、Shared:シェアリング)車や、無人航空機の実証試験設備が提供されている。

(注)アイルランドのスタートアップエコシステムについてはジェトロレポートPDFファイル(0.0B)参照。

(島村英莉、尾関康之)

(アイルランド)

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