米規制当局、火災事故のフリーポートLNG再稼働へ安全命令

(米国)

ヒューストン発

2022年07月01日

米国運輸省パイプライン・危険物安全管理局(以下、当局)は6月30日、火災事故を受けて稼働を停止しているテキサス州の液化天然ガス(LNG)製造施設のフリーポートLNGに対して再稼働に向けた安全命令PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発出したほか、フリーポートLNGを運営するフリーポートLNGデベロップメント(FLNG、本社:テキサス州ヒューストン)に対し、必要な対応を実施するよう求めた。

FLNGは、当局からの再開を承認する書面を受け取らない限り再稼働は認められず、30日以内に作業手順、管理システム手順、人員の資格・訓練などについて評価と査定を行う外部機関を選定し、当局から承認を受ける必要がある。また、60日以内に選定された外部機関が事故の原因解明に向けた調査を実施し、是正計画を含め、当局に報告書を提出することなどが求められる。

火災が発生した6月8日の翌9日、FLNGの広報担当者はメディアの取材に対し、少なくとも3週間、操業を停止すると回答していたが(2022年6月13日記事参照)、14日の発表では、規制当局の許可が得られ次第、約90日後の部分的な操業再開を目標とするほか、プラントが完全稼働に戻るのは2022年後半になるとしていた(2022年6月15日記事参照)。

FLNGは6月30日、当局の安全命令の通知を受けて声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発出し、「当社にとって安全は常に最優先事項であり、今後もそれは変わらない」「安全な操業再開に必要な認可を得るべく、事故の原因解明に向けた調査活動をあらゆる関係者と協力しながら続ける」として、当局と連携しながら再稼働を目指すとした。その上で「現時点では、部分的な操業再開は10月上旬、完全稼働は年末が目標となる見込みだ」と述べている。

米国のLNG輸出の20%を担うFLNGは、当局による安全命令の承認に手間取れば、再稼働の開始時期が遅れる可能性があり、欧州を中心とするLNGの需給動向に大きな影響を与えそうだ。

FLNGは、最大で日量21億立方フィート(約6,000万立方メートル)のLNG処理が可能で、完全稼働時には年間1,500万トンのLNGを輸出することが可能だ。FLNGは、英国BP、JERA、大阪ガス、韓国SK E&S、フランス・トタルエナジーズなどの企業向けにLNGを処理している

(沖本憲司)

(米国)

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