カナダ保健省、包装済み食品に対する新栄養表示規制を発表

(カナダ)

トロント発

2022年07月07日

カナダのジャンイブ・デュクロ保健相は6月30日、包装済み食品に対する新たな栄養表示規制を7月20日から施行することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。消費者が十分な情報を得た上で食品を選択できるようにすることを目的としたもので、この規制により、飽和脂肪や糖分、ナトリウムを多く含む食品のパッケージ前面に新しいシンボルマークを表示することが義務付けられる。製造業者は2026年1月1日までに新要件に適合させる必要がある。

シンボルマークは、消費者が包装済み食品を購入する際に注意を引くよう、虫眼鏡のイラストと「飽和脂肪を多く含有」などの文字で構成されており、パッケージ裏面に表示が義務付けられている栄養成分表を補完するものとなっている。

シンボルマークの表示が義務付けられる食品は以下のとおりとしている。

  1. 一般的な包装済み食品:1日当たり推奨摂取量の15%以上に相当する飽和脂肪、糖分、ナトリウムを含むもの。例えば、スライスされたハム・ソーセージなどの肉類、冷凍デザートやスープなど。
  2. 基準量が少ない(30グラムまたはミリリットル以下)包装済み食品:飽和脂肪、糖分、またはナトリウムの1日当たり推奨摂取量の10%を超えるもの。例えば、ピクルス、サラダドレッシング、クッキー、朝食用シリアルなど。
  3. 包装済みの基準量200グラム以上の主菜となる食品:飽和脂肪、糖分、ナトリウムの1日当たり推奨摂取量の30%以上を満たすもの。例えば、冷凍ラザニアやミートパイ、ピザなど。

カナダでは、成人の5人に2人が心臓病や2型糖尿病などの慢性疾患に罹患(りかん)しているといわれている。保健省ではこうした状況を改善すべく、2016年に「健康な食事戦略」を策定し、食環境の改善や、消費者が十分な情報を得た上で食品を選択することを容易にすること、食事に関連する慢性疾患のリスクを低減することを目標として掲げてきた。今回の発表はその戦略の一環で、2016年の提案後、2018年のパブコメ募集を経て議論が重ねられてきた。その間、飽和脂肪、糖分、ナトリウムの過剰摂取が慢性疾患のリスクを高めるという研究結果が蓄積され、保健省では同制度の導入を決めた。

デュクロ保健相は会見で、チリで同様の表示制度を導入後、シンボルマークを表示する必要のある商品の割合が大幅に減少し、企業が糖分、脂肪、塩分を減らすために製造方法を変更したことが示唆されたことを例に挙げた。併せて「政府が2026年まで企業に変更を実施する機会を与えるのは、企業が包装見直しによるコストを管理し、食品の製造方法を見直して、この規制の対象外となる可能性を探ることを支援するためだ」と述べた(CTVニュース6月30日)。

(飯田洋子)

(カナダ)

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