米国務省、汚職関与の疑いでパラグアイ前大統領を制裁対象に指定

(米国、パラグアイ、グアテマラ)

米州課

2022年07月28日

米国のアントニー・ブリンケン国務長官は722日、パラグアイのオラシオ・カルテス前大統領(在任期間:2013~2018年)を、重大な汚職への関与を理由に制裁対象に指定したとの声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

同声明によると、カルテス前大統領は、自身や仲間を訴追や政治的損害から守るために、越境犯罪に関する国際的な調査を妨害したとしている。ブリンケン国務長官は、今回の制裁対象への指定について「カルテス氏の行動は、パラグアイの民主制度の安定性を傷つけたほか、越境犯罪やテロに対する米国の安全保障や地域の安定を脅かし、自身が外国のテロ組織などに関与することを可能にした」と述べている。

国務省は、2022年対外活動・関連プログラム歳出法(DOSFA)第7031条(C)に基づき、カルテス前大統領を制裁対象に指定した。今回の決定には、同前大統領の子3人も含まれている。最近、この法規則を根拠に制裁対象に指定された者として、グアテマラのマリア・コンスエロ・デ・ポレス検事総長(516日)やコロンビアのルイス・アルベルト・カスティージョ元上院議員(630日)が挙げられる。グアテマラのアレハンドロ・ジャマティ大統領は、米国によるデ・ポレス検事総長への制裁を理由に、20226610日にロサンゼルスで開催された米州首脳会議を欠席している(2022年6月14日記事参照)。

カルテス前大統領の代理人は、パラグアイメディアの取材に応じ「米国は、カルテス氏とテロ組織の関係について、特定の事実や根拠を示していない」として、米国の政治的決定を批判した(「ラ・ナシオン」726日)。他方、ブリンケン国務長官は「米国は、民主主義と法の支配を支持するパラグアイ国民と共にあり、個人的利益のために公権力を乱用する人々の責任を追及していく」と述べて、その正当性を強調している。

(片岡一生)

(米国、パラグアイ、グアテマラ)

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