EU型「一般データ保護規則(GDPR)」を法務省が検討中

(エチオピア、EU)

アディスアベバ発

2022年07月07日

エチオピアには、EUの一般データ保護規則(GDPR)に値する規則は、ジェトロが当地の弁護士事務所に確認したところ、まだ法制化されていないことが分かった。

EUの規則では、個人情報管理が体系化され、域外への情報移転についても対象となることから、情報移転に当たっては、個人情報の十分な保護や事前に必要となる諸手続きが求められる。EU規則の成立以後、アフリカ諸国でも、類似の法制度が検討されるようになっている(2020年1月30日記事2022年2月22日記事参照)。エチオピアでは、2021年に革新技術省が中心となって、データ保護法案を準備していることが明らかになっており、当地報道では監督機関として、データ保護委員会の設置も検討されているという(「フォーチュン」紙2021年6月6日)。しかし、ジェトロが当地の法律事務所(Mesfin Tafesse and Associates)に確認したところ、本法案は、司法長官室(現法務省)での見直し作業に送られたところで止まっており、2022年6月28日時点では、法制化されていない(注)。

法制化までには、通常、法務省での見直し作業と所管省庁での修正を経て、閣僚評議会で審議と承認の後、人民代表議会で議論し、可決される必要がある。その後に、大統領が署名して官報が発行されて初めて施行される(内容によって、施行規則が必要なものは、別途、施行規則が定められるまで実効性を持たないものもある)。当地では、会計年度の終わり(2022年7月6日)も近く、データ保護法案がいまだ法務省の下にあることを踏まえると、近々に法制化されるとは見込まれない。

(注)同法律事務所によれば、個人情報保護にかかる規則が全くないわけではなく、別個の法律・規則に関係し得る定めがあるため、注意が必要ともしている。

(関隆夫)

(エチオピア、EU)

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