カギはパートナー、ジェトロが農業ウェビナー開催

(インド、ベトナム、日本)

新興国ビジネス開発課

2022年07月28日

ジェトロは756日、ウェビナー「農業資機材・アグリテックのアジア・フロンティア市場における可能性」を開催した。1日目は海外ビジネスの最前線にいる企業がチャンスや留意点について、実体験に基づく講演を行った(2日目:2022年7月28日記事参照)。どの講師も現地ビジネスのカギとして、パートナーの発掘・連携を強調した。

農業コンサルティングを手掛けるアグリコネクトの湯本重伯コンサルティング事業部リーダーと奥山洋大コンサルタントは、海外展開のメリットと留意点について講演。同社がベトナムで日本の技術を活用した農業事業の開発を支援した際に、現地の行政機関や農業団体、有力農業企業や流通企業などと幅広い協力関係を形成した経験を紹介した。その上で、実際のマーケットインでは現地関係者との連携を通した座組(プロジェクトのメンバー)のデザインと組成をいかに行うかが重要だと述べた。

衛星データと人工知能(AI)を活用した農地解析サービスを展開するサグリの坪井俊輔代表取締役兼CEO(最高経営責任者)はインド展開について講演。同社では自社技術を活用した土壌分析データを現地パートナー(農業サービス企業や営農会社、銀行など)を通して農家に活用してもらうことで、農家の収量増加を実現していると説明、現地パートナーの重要性を指摘するとともに、アグリテック分野の海外ビジネスの可能性を示した。

生鮮品の長期保存を可能にする鮮度保持袋を開発・生産する日産スチール工業の西本英世国際部長は自社の海外展開手法について講演。インドでは展示会出展を機に現地とのネットワークの構築に成功。出展1年後には現地政府と覚書を締結するなど、現地ネットワークの深化に展示会などのイベントが有効だと述べた。さらに、他の日本企業とチームを組んで新興国に働きかける取り組みを強調。商流のそれぞれで日本側が現地パートナーをフォローする体制を整えることで、さまざまな課題を解決する体制を整備、相手国への貢献とビジネスの促進につなげていると述べた。

海外ビジネスに取り組む日本企業向けに、ジェトロは9月に「アジア広域農業資機材・アグリテックオンライン商談会」を開催する。日本企業とのビジネスを求める現地企業20社が参加する予定だ。

(一瀬友太)

(インド、ベトナム、日本)

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