政府が省エネ計画発表、冷房中の店舗のドア閉鎖義務化を予定
(フランス)
パリ発
2022年07月26日
フランスのアニエス・パニエ=リュナシェ・エネルギー移行相は7月24日、日曜紙「ジュルナル・ドゥ・ディマンシュ」紙とのインタビューで、夜間から早朝にかけて(午前1時~午前6時)の広告照明と冷房中の店舗のドア開放を禁止する政令(デクレ)を近く制定すると予告した。違反事業者に対しては、広告照明は1,500ユーロ、ドア開放は最大750ユーロの罰金を科す方針を示した。
同措置は、政府がエネルギー消費量を今後2年間に2019年比で10%削減する目標を掲げて策定するエネルギー節減計画の一環として導入するものだ。エマニュエル・マクロン大統領は7月14日、ロシアのウクライナ侵攻の影響によるエネルギー不足を回避するため、集団的にエネルギーの節減努力を始める必要があるとして、同計画の開始を発表していた(政府の7月18日付発表)。
具体的な内容については、パニエ=リュナシェ・エネルギー移行相が7月15日付の自身のツイッターで、公的セクターが模範となり、「暖房を摂氏19度超、冷房を26度以下に設定しない」「在宅勤務を奨励する」などの省エネ対策を実施するとした。また、企業経営者団体や、スーパーマーケットなど大手小売業者、住宅関連業者などセクター別に具体的な対策を協議すると説明していた。
カルフールやオーシャンなど食品小売り大手が加盟する業界団体ペリフェム(Perifem)は7月18日、加盟スーパーの間で自主的に策定した省エネプランを公表した。閉店とともに広告照明を消す、店内の照明を暗くする(開店前の照度を50%削減、開店中も電力需給が逼迫する期間は最大で30%削減)、夜間の空調設備の稼働停止、施設内温度(暖房)の17度への引き下げなどが具体的な内容となる。ペリフェムは同プランを10月15日から適用するとしている。
6月と7月中旬に猛暑に見舞われたフランスでは気候変動対策強化の機運が高まっており、パリ市は7月22日、冷房中の店舗のドア閉鎖を義務付ける条例を制定し、25日に施行した。違反店舗には最大で150ユーロの罰金処分を適用する。リヨン市
やブザンソン市
でも、同様の禁止措置が7月20日と22日にそれぞれ施行されている。
(山崎あき)
(フランス)
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