連続7年半、再生可能エネルギーでの国内電力供給率98%超を維持

(コスタリカ)

メキシコ発

2022年07月27日

コスタリカ電力公社(Instituto Costarricense de ElectricidadICE)は75日、202216月の再生可能エネルギーによる国内の電力供給率が98.58%だったと外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。内訳は水力(70.08%)、地熱(14.18%)、風力(13.46%)、バイオマス(0.86%)だった。コスタリカは再生可能エネルギーでほほ全ての国内消費電力を賄っており、2015年から7年半連続でその電力供給率が98%を超えている。ICEによると、202216月の再生可能エネルギーによる発電量は6,213.45ギガワット時(GWh)で、そのうち地域電力市場(Mercado Eléctrico RegionalMER)で324GWh)を販売した。MERとは、中米6カ国(コスタリカ、パナマ、グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル、ニカラグア)が共有する電力売買プラットフォームのことで、自国の需要を超える電力量を発電している場合に、電力を他国へ販売できる。中米電力連携システム(Sistema Eléctrico para América CentralSIEPAC)により20136月に稼働した。コスタリカの場合は、民間電力会社によるMERを通じての電力売買が認可されていないため、全てICEが一括して売買している。

202258日に大統領に就任したロドリゴ・アルベルト・チャベス・ロブレス氏は、カルロス・アルバラド前大統領の方針を継続している。具体的には、コスタリカ国内に自動車の完成車工場が存在しないことから、非ガソリン車輸入への優遇税制を講じ、国内の車両をガソリン車から電気自動車(EV)に順次転換する計画だ。しかし、EV普及に欠かせない充電インフラは十分に整備されておらず、両輪での対策が求められている。また、政府は2018年に国家脱炭素化計画(2018-2050年)を発表しており、環境への負荷低減政策を続けることで、国外から同分野への投資を活性化させるビジョンを打ち出している。具体例として、2022223日、ICEと、グローバルインフラや産業プロジェクトの問題解決を行うオーストラリアのコンサル会社カデルコ(Kadelco)がグリーン水素燃料製造工場の設置に向け、電力供給条件などについて覚書に署名した。コスタリカ大統領府によると、同プロジェクトによる新規の直接雇用者数は2,600人で、合計投資額は33億ドル、グリーン水素(注)の製造量は年間5万メトリックトン(Mt)を見込んでいる(「ラ・ナシオン」紙223日)。

(注)グリーン水素は、製造工程で再生可能エネルギーなどを使うことで二酸化炭素を排出せずに作り出される水素のことで、主に水の電解により水素が製造されることから、コスタリカが最も得意とする水力発電と親和性が高い。

(志賀大祐)

(コスタリカ)

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