カスティージョ大統領が与党ペルー自由党を離党、党内分裂と公約違反を問われ決別か

(ペルー)

リマ発

2022年07月05日

ペルーのペドロ・カスティージョ大統領は6月29日、ペルー選挙審議会(JNE)の政治団体登録局に対して、所属する与党・急進左派のペルー・リブレ(ペルー自由:PL)党からの登録抹消を申請し受理された。カスティージョ大統領は、同党から擁立され2021年の大統領選挙に立候補し当選していたが(2021年7月20日記事参照)、2022年6月28日にPL党が公式に離党を求めていた。PL党ウェブサイトに掲載された離党要請書には、PL党の分裂を引き起こした責任と党の選挙キャンペーン公約を守らず新自由主義政策に傾倒したことへの批判がつづられており、ブラディミル・セロンPL党首との間の確執が決定的に広がったことをうかがわせている。カスティージョ大統領は、自身のツイッターで「PL党からの離党を決意したのは3,300万人のペルー国民への責任の表れだ。PL党と選挙キャンペーン中に作られた同党の基礎理念には敬意を表する」としている。

PL党は、当初37議席を有していたが、その後1月7日に5人の所属議員が離党しペルー・デモクラティコ(ペルー民主主義:PD)党を結成したほか、5月11日には10人のカスティージョ大統領派の教職員出身議員が離党届を提出してブロケ・マヒステリアル・デ・コンセルタシオン・ナシオナル(教員団体国家連合:BMCN)党を結成。6月8日にはさらに5人の議員が離党し、ペルー・ビセンテナリオ(建国200周年ペルー:PB)党を結成しており、党内分裂が急速に進んでいた(そのほかにも1人がポデモス・ペルー党に移籍し、PL党は現在16議席となっている)。

一方、カスティージョ大統領は、議会の会計検査委員会による調査報告で政府内での5件の汚職に関わったとされており、今後、同調査結果が再び大統領罷免動議の火種になる可能性もある。そのため、PL党離党も同捜査かくらんの意図があるのでは、との野党陣営からの憶測も出ている。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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