急進左派のカスティージョ候補が新大統領に当選確定

(ペルー)

リマ発

2021年07月20日

ペルー選挙審議会(JNE)は7月19日の国民向けのテレビ放送で、6月6日に行われた大統領選の決選投票の公式結果を発表し、急進左派のペルー・リブレ(自由ペルー:PL)党から立候補したペドロ・カスティージョ候補の勝利を正式に発表した。

4月11日の第1回投票(2021年4月14日記事参照)で共に上位通過した右派のフエルサ・ポプラール(人民勢力:FP)党のケイコ・フジモリ候補との決選投票は、ペルー全国選挙管理委員会(ONPE)の公式結果ではカスティージョ候補が4万4,263票の僅差でフジモリ候補を下していた。だが、フジモリ候補陣営はこの結果には納得せず、一部の投票所において不正が行われたとの異議申し立てをJNEに行ったため、最終的な選挙結果の発表が遅れていた。

一方、米州機構(OAS)は、パラグアイのルベン・ラミーレス・レスカノ元外相を団長とする40人の選挙監視団を5月30日からペルーに派遣し、ペルー国内18州のほかにも海外5都市における投票所運営の監視に当たったが、6月11日の暫定報告書において「深刻な不正」はなかったと結論付けている。また、欧州委員会の選挙監視団も、同様に決選投票は「自由かつ民主主義的」に実施されたと評価している。

JNEの公式発表を受け、当選したカスティージョ次期大統領は即日、自身のツイッターで自身の勝利についてペルー国民への感謝を述べると同時に、全ての社会セクターへ独立200周年の年に一丸となって包括的で公正で自由な国造りをすることを呼び掛けた。その後、党本部のバルコニーに現れたカスティージョ候補は集まった支持者に対して、「次の200年への扉を開く」とした上で、FP党のフジモリ候補に対しても国造りのために共に障壁を乗り越えて行くと述べた。

なお、FP党のフジモリ党首は、JNEの発表の数時間前に法律と憲法に従いJNEの公式結果を受け入れるとして、自身の敗北を公式に認めた。その上で、今後はカスティージョ新大統領とブラディミール・セロンPL党首が進める社会主義政策に民主主義で対抗し、ペルーを第2のベネズエラにしないための闘争を支持者に訴えた。

カスティージョ新大統領の就任式は独立記念日の7月28日の予定で、その前に新内閣の発表も予定されており、その人選に注目が集まっている。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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