ニュージーランド農畜産企業、世界の食糧庫ブラジルをビジネス展開の視野に

(ブラジル、ニュージーランド)

サンパウロ発

2022年07月22日

ブラジルのサンパウロ州ピラシカーバ市に所在する国内最大手のアグリテックハブのアグテックガレージは628日、ニュージーランド貿易経済促進庁(NZTE)などとともに、ニュージーランド企業9社の中南米向けビジネス展開を支援したと発表した。

アグテックガレージは、外国の農業分野のテクノロジーの中南米展開を支援するため、ニュージーランド企業の支援に特化した「アグリテック・インターナショナル・アクセラレーション・プログラム」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを初めて発足させた。支援企業の中には、農場の特徴や状態をデータ化し、その最新データをユーザー同士で共有するアプリを提供するランドカインド外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注1)や、牛乳のサンプル調査から乳牛の健康状態の結果を24時間以内に入手できる機材・サービスを提供するマスタテスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなどが含まれている。

同プログラムでは、20222月から6月の間、支援企業向けのメンタリングやエコシステム関係者向けのプレゼンテーション機会を提供した。その中では、企業が投資家などとの人脈を広げる機会を提供したほか、各社製品を中南米市場向けに現地化するアドバイスなどを行ったという。

同プログラムのメンターの1人、ザ・イールド・ラボ(注2)ディレクターのキーラン・ガートラン氏「ニュージーランドの市場規模は比較的限られており、それゆえ、農業の効率性を高めるテクノロジーが農家に必要とされている。ブラジルでは市場規模の大きさがメリットだが、効率性の観点では課題もあり、ニュージーランド企業から学びが得られるはずだ」と両国の補完関係を分析した。

ブラジルには1,500社超のアグリテック企業が存在しており(2021年6月14日記事参照、外国企業の技術力が加わることでさらに層が厚くなる可能性がある。また、ブラジルは世界最大規模の農業技術見本市「アグリショー」が開催される国でもある(2022年5月19日記事参照。農業分野は食料安全保障の観点でも注目が集まる(2022年6月23日記事参照

(注1)同社公式サイトによると、ニュージーランドでキウイの生産と販売などを行うゼスプリも顧客に含まれている。

(注2)世界のアグリフード関連企業などへの投資などを行う。アーリーステージの企業を主なターゲットにしている。

(古木勇生)

(ブラジル、ニュージーランド)

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