上半期の実質GDP成長率は2.5%、四半期では2020年第1四半期以来の低水準に
(中国)
北京発
2022年07月19日
中国国家統計局は7月15日、2022年6月までの主要経済指標を発表した(添付資料表参照)。2022年上半期(1~6月)の実質GDP成長率(前年同期比)は2.5%となった。第2四半期(4~6月)の成長率は0.4%と、第1四半期(1~3月)からさらに減速し、四半期ベースの成長率としては、新型コロナウイルスの感染拡大が始まり全国的に経済活動が停滞した2020年第1四半期(マイナス6.8%)以来の低水準になった(添付資料図参照)。
1~6月の投資(固定資産投資)は前年同期比6.1%増(1~5月:6.2%増)で、5月時点からほぼ横ばいだった。そのうち、民間投資は3.5%増(4.1%増)と減速した一方、インフラ投資は7.1%増(6.7%増)と伸びが加速した。不動産開発投資は5.4%減(4.0%減)と減少幅が拡大した。
消費(社会消費品小売総額)は1~6月が前年同期比0.7%減(1~5月は1.5%減)となった。6月単月の消費の伸びは前年同月比3.1%増と、1~2月以来4カ月ぶりにプラスに転じた。食品類や自動車の販売が伸びたほか、飲食業収入も伸びは依然マイナスであるものの減少幅は縮小した。
工業生産増加額(付加価値ベース)は、1~6月が前年同期比3.4%増(1~5月は3.3%増)となった。6月単月では前年同月比3.9%増(5月は0.7%増)と、伸びがプラスを回復した前月から加速した。
消費者物価上昇率は、1~6月平均で1.7%となった。6月単月では2.5%で、2021年11月(2.3%)以来の水準となった4月、5月(いずれも2.1%)からさらに上昇した(注1)。食品価格上昇率が第2四半期にプラスに転じた(2.3%上昇、第1四半期は3.1%下落)ことが影響した。6月末の都市部調査失業率は5.5%と前月比0.4ポイント低下した一方、16~24歳の同失業率は0.9ポイント上昇して19.3%となり、国家統計局で数値が公表されている2018年1月以降では過去最高を更新した。
国家統計局の付凌暉報道官は、複雑で厳しい国際環境と国内における新型コロナ感染拡大により、成長に一定程度マイナスの影響があった中で第2四半期の成長率がプラスを保ったのは容易なことではなかった、と評価した。その上で、今後について、世界的なスタグフレーション(景気後退とインフレが同時進行する現象)のリスクの高まりや国内経済の回復に依然として多くの不確実な要素が存在すること(注2)などを指摘しつつも、安定成長に向けた一連の政策措置(注3)の効果が表れるにつれて経済状況は徐々に改善していく、との見通しを示した。
(注1)国家統計局の付報道官は、欧米の物価上昇率がいずれも8%以上の水準に達しているのと比較して、中国の物価上昇率は相当低いとの見方を示している。
(注2)国家統計局の付報道官は、国内需要の収縮、供給面のショック、期待の 低下という三重の圧力が依然存在することなどを指摘しつつ、2022年通年の実質GDP成長率目標(5.5%前後)の達成はチャレンジングなものになっている、との認識を示した。
(注3)国務院が5月に発表した33項目の措置(2022年6月2日記事参照)などが代表的なものとして指摘できる。
(小宮昇平)
(中国)
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