在米中国企業の収益は回復傾向、米中関係や中国ブランドの信用性に懸念、在米中国商工会議所年次報告書

(米国、中国)

米州課

2022年07月15日

在米中国商工会議所は75日、米国における中国のビジネスに関する2022年の年次報告書を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

この報告書によると、202234月に実施した調査に回答した111社のうち、2021年の収益が前年比で増加した企業は54%に上った。2021年の同時期に実施した調査では、収益が前年比で増加した企業は20%だったことから、新型コロナ禍からビジネスが回復している様子がうかがえる。また、米国における投資・ビジネス環境の改善を実感している企業は29%と、前年調査時(6%)から大幅に上昇したほか、米国での新規投資額が増加した企業は24%となり、前年調査時(12%)から12ポイント上昇した。

他方、在米中国系企業の米中関係に関する見通しについて、「幾分改善する」と予測している企業はわずかに10%(注)で、全体の49%(「かなり悪化する」11%、「幾分悪化する」38%)が悲観的な見方を示している。米中関係の将来に悲観的な企業は、前年調査時(25%)から24ポイント増加した。

社内にコンプライアンス委員会を設置している在米中国系企業は33%で、「過去12カ月でコンプライアンス向けの予算を増やした」と答えた企業は21%、横ばいは68%、減少は11%だった。コンプライアンス向けの職員を増やした企業は15%で、大多数(75%)は横ばいと回答しているが、減員した企業(10%)よりも多くなっている。

米国市場における課題について、複数回答可能な選択肢のうち、「中国ブランドに対する信用の低さ」(43%)が最も多かった。「反中感情のまん延」(41%)がこれに続き、「米国政府の制度・規制に対する理解の不足」(36%)や「複雑かつ曖昧な対中規制および制裁」(35%)を上回っている。

本調査結果から、在米中国系企業は、米中関係や中国ブランドの信用性の欠如に懸念を抱きつつも、直近の収益は増加傾向にあり、一部では社内のコンプライアンスを強化する動きがみられる。

(注)「かなり改善する」と予測している企業は0%。

(片岡一生)

(米国、中国)

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