米イエレン財務長官が訪韓、外国為替市場に関する協議継続で合意

(韓国、米国)

ソウル発

2022年07月21日

韓国企画財政部は、秋慶鎬(チュ・ギョンホ)経済副首相兼企画財政部長官と、韓国を719日から20日にかけて訪問したジャネット・イエレン米財務長官との間で、韓米財務長官会議を開催したと発表した。

会談では、世界経済の展望に加え、両国が引き続きウクライナ情勢に協調して対応していくことを確認した。イエレン長官はロシア産原油の価格上限設定に関し、韓国の積極的な参加を求めた。秋副首相はこれに参加する意向を示した上で、国際原油価格や消費者物価の安定に寄与する効果的な制度設計をすべきとの立場を表明した。

また、両氏は最近の金融・外国為替市場の動向についても意見交換を行った。対外要因によって最近、韓国通貨ウォンとドルレートのボラティリティー(変動性)が高まったものの、韓国の外貨流動性の状況は過去の経済危機とは異なり、依然として良好に安定しているとの見解で一致した。

ただし、秋副首相はこのような状況でも、国際金融市場の急変や域内の経済安全保障のリスク要因に留意しつつ、金融・外国為替市場の状況を徹底的にモニタリングする一方で、有事に備えたコンティンジェンシープラン(緊急対応計画)を再整備する計画だとした。こうした点を踏まえ、両氏は外国為替市場に関する綿密な協議を継続し、外国為替にかかる課題に対応するために適切に協力することで合意した(注)。

なお、現地メディアは、イエレン長官と韓国銀行の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁との非公式会議を行った際に、韓国銀行が2021年末に終了した韓米通貨スワップの再締結に向けた協力を要請した可能性があると報じた(「ニューシス」719日付、2021年6月21日記事参照)。同紙はさらに「通貨スワップは両国中央銀行間で決定する事案であり、権限外の米財務省は関与できない立場にある。会議の場で通貨スワップの必要性について提起することはあっても、公式に議論することは難しい」とする企画財政部関係者の見解を伝えた。

(注)「韓米両国は、必要に応じ流動性の供給などさまざまな協力策を実行する余地がある」(have ability to implement various cooperative actions such as liquidity facilities if necessary)という文言で一致した。

(当間正明)

(韓国、米国)

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